はじめての万年筆を選ぶポイントとは?③(吸入方式編)

様々な吸入方式があるのが面白い、万年筆

さて、はじめての万年筆を選ぶポイントですが、デザイン編・ペン先編と2回にわたってお送りしてきました。
まだまだ考えるべきポイントはありそうです。万年筆は奥深いですね。

万年筆はご存知インクが内部からペン先に自動的に落ちてくる構造を持ったものなのですが、インクはタンクに無くなったらまた補給しなければなりません。そこで、インクを吸入するのですが、この吸入に、いろいろな様式があるのが万年筆の面白いところです。
インクが自動的に落ちてくるのは万年筆の楽な点なのですが、インクを吸入するのは、手が汚れてしまったり、インクを開け閉めしたり、言ってみればちょっと面倒なこと。この面倒くささをいかに無くすか、というのが各メーカーがしのぎを削っているところなのであります。

万年筆の吸入方式はかなり種類があった

仮に、イギリスのフレデリック・B・フォルシュが発明した万年筆の礎となるペンが出来た都市1809年を万年筆の歴史のはじまりと考えると、すでに200年以上の歴史があるわけです。
この200年の間に、様々な会社や個人があらたな吸入式を開発してきました。
ざっと挙げただけでも…

・ディップホルダー ・アイドロッパー
・ポンプ式 ・サクション式 ・プランジャー式
・フラッシュ式 ・ピストン式 ・ソリット式
・クレセント式 ・レバー式 ・ボタン式
・サドル式 ・ハチェット式
・呑込み式 ・ノブ式 ・ツイスト式
・ノバ式 ・中押し式 ・スリーブ式
・コイン式  ・スライディング・レバー式
・クランク・レバー式 ・スクイーズバブル式
・ブロー式 ・レバーレス式 ・アコーディオン式
・クロッカー式 ・オパール・リバースレバー式
・ニューマチック式 ・タッチダウン式
・スノーケル式 ・ダイアフラム式
・ヴァキュマチック式 ・レッドバンドフィラー式
・毛細管式 ・コンバーター式
・カートリッジ式 ・プッシュ&プルタッチダウン式
・ダブル・タンク・パワーフィラー式

これだけの吸入方式があるわけです。ただ、もうすでに廃れてしまっている吸入方式ももちろんあるわけで、今挙げたほとんどの方式は手に入ったとしてもヴィンテージ品となっており、修理が難しいものがほとんどです。

はじめての万年筆えらびで、気にかけなければいけないのは

そもそも、「はじめての万年筆」を選ぶときに、なんだか小難しそうな「プッシュ&プルタッチダウン式」や「オパール・リバースレバー式」を選ぶ方はほとんどいないかと思われます。

はじめての万年筆で選びそうな方式はざっくり分けると3種類。

①カートリッジ式
②コンバーター式
③その他いろいろ(プランジャー式やピストン式

①から説明していきます。

①カートリッジ式

カートリッジは首軸のところに交換可能なインクカートリッジを差し込む方法です。
これが一番簡易的で、とっつきやすいといえるでしょう。

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ぶすっと差すタイプ

メリット

  1. 差して使い、インクが無くなればカートリッジを差しなおすだけなので簡単。
  2. 手が汚れる心配があまりない。

デメリット

  1. インクの色を変えたり、メンテナンスするときの洗浄に時間がかかる。
  2. インクの色が限られる
  3. 万年筆を使う頻度が高い場合にはコストが割高になる。

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LAMYはカートリッジもおしゃれですね

カートリッジ式は、多くの入門用万年筆に採用されているほか、1万円台~2万円台の万年筆でもカートリッジが使えるものが多いです。他の吸入式と比べると簡易的で、現代の生活にマッチしている方式なのでしょう。
後から詳しく説明しますが、カートリッジ式の多くは「コンバーター」と両用で使える場合が多いのです。

②コンバーター式

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上がコンバーター、下がカートリッジ

コンバーターは多くの場合、カートリッジ式の万年筆を吸入式に変えたいときに使われますので、「両用式」あるいは「コンバーター両用式」とも言われます。
コンバーターと呼ばれる差し替えできる吸入タンクを、カートリッジを差す所と同じところに差せばOK。
コンバーターを差した状態の写真
コンバーターを差した状態

このコンバーターを使えば、あらゆるブランドやメーカーから出されているインクを使うことができます。
(一応、同じブランドのインクを使わないと保証が受けられないと言われていますが…)
さあ、インクの世界があなたを待っています…!

余談:
万年筆マニアの間では、インクの奥深さにハマってしまうことをインク沼と呼んでいます。ああ、美しいインクの沼に、ずぶずぶハマって肺までインクを飲み込んでしまいたい!

メリット

  1. インクの色を替えて楽しめる
  2. カートリッジよりもたくさんの量のインクを入れられることも(メーカー・種類による)

デメリット

  1. 手が汚れる可能性がある
  2. インクの吸引自体が時間と手間がかかる

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手が汚れる可能性も

個人的に1番おススメなのは、やはりカートリッジとコンバーターが両方使える、両用式です。
カートリッジで使い勝手良く、コンバーターでインクの吸入を楽しむ。
まれにカートリッジしか使えない万年筆もありますので、購入前には必ずコンバーターが付属・または別売りであるかどうか確認してから買いましょう。

③その他の吸入式

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TWSBIのプランジャー式万年筆

はじめての万年筆を買う時に、上記以外の吸入方式の万年筆を買う人は少ないかと思います。なぜなら、そういった吸入方式は主に高級万年筆に採用されているからです。高級万年筆のコレクターたちは、そういった複雑な吸入方式を万年筆の魅力の一つとして、コレクト対象にしているのです。
しかし、初心者でも、もし「惚れた」万年筆があった場合、吸入方式がそういった複雑なものの可能性もありますね。
ですので有名な吸入方式をここで紹介しておきます。

ピストン式(回転吸入式)

これはコンバーターと同じ要領で、 尻軸を回すなどしてインクを吸入する方式。
メーカーによって細かい動作に違いがあります。文栄堂さんが素晴らしい動画をUPしていたのでご紹介します。

 

プランジャー式

プランジャー式はヴィンテージ品にもありますが、パイロットのカスタム823や台湾産のTWSBIというブランドにも使われています。
真空を利用し、尻軸から出した尾栓を押し込むことによって空気の負圧でインクが一瞬にして吸入される、おもしろい機構です。
透明な軸を選ぶと、インクが上がってくる様が見えるので非常に愉しいのです。こちらもげんきざっくざくさんが詳しく動画にされています。

 

こちらのプランジャー式も、メーカーによって細かい動作が違います。有名なところではビスコンティの高級ラインで使われている「ダブル・タンク・パワーフィラー式」も、プランジャー式の1種でありますが、インクタンクが2つ内蔵されているのでメインタンクにインクが無くなったらサブタンクから補給する、という機構です。
通常の機構より7-8倍ものインクが吸入できるとある通り、ペン自体がかなり大きなものになります。

はじめての万年筆選びでは、吸入のおもしろさよりかは、使いやすさで選んだ方がいいと思うので、変わった吸入機構のものが欲しい場合、よく下調べしてから購入することをおすすめします。

両用式でおすすめ。はじめてでもOKの高級万年筆5選

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様々な吸入方式がある万年筆。はじめての方には、カートリッジとコンバーターの両用式がおすすめです。

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Delta デルタ イタリアーナ アイボリーホワイト 参考価格 ¥21000-
美しい象牙色の軸は、イタリア製の美的センスをかもしだし、所有欲をたっぷりと満たします。ペン先はスチールながら、安定感があり、おすすめです。
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Lamy ラミー サファリ 参考価格 ¥4320-
低価格で安心のドイツ製万年筆が手に入るとあって、人気のモデルです。デザインも機能的でおしゃれ。普段使いにぴったりです。

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Visconti ビスコンティ レンブラント カーキ 参考価格 ¥25000-
こちらもイタリア製の万年筆メーカーのもの。見た目の美しさは定評があります。スチールニブですが、フローの良い安定感ある書き心地で使いやすい。

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Pelican ペリカン クラシック(トラディショナル)215シリーズ M215 ブラック 参考価格¥17820-
ペリカンといえばスーベレーンが有名ですが、1万円強で買えるシリーズもあるのです。モダンかつトラディショナルな雰囲気に酔える1本ですね。書き心地も滑らかと定評あり。

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Waterman ウォーターマン エキスパート ブルー 参考価格 ¥17820-
ウォーターマンは硬めのペン先で、軸のバランスも良い、多少荒い用途にも対応できる質実剛健なビジネスタイプです。わりと細めな書き味なので手帳にメモをするに向いています。

まとめ

いかがでしたか?様々な吸入方式がありますが、難しく考えずにまず使ってみるのが大事です。慣れてくれば吸入も手が汚れずに素早くできるようになるでしょう。2本目、3本目には変わった吸入方式の万年筆の万年筆を狙うのもいいですね!
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はじめまして!Il Duomo(イル・ドゥオモ)店長の佐藤です。

私は、幼少期から絵や文学(短歌とか詩)などが好きで、文具が大好きでした。

 

大人になってからヨーロッパ文具の美しさと独特の味わいに惹かれて、万年筆の通販サイトをはじめました。

主にイタリアのペンを中心に扱っています。

 

私自身、万年筆を使い始めてから手帳に向かい合う時間が増え、いっとき辞めていた詩歌の趣味も、あらためてはじめることができました。

そんなことから、わたしは筆記で人生はもっと豊かになると信じています。

 

万年筆・ボールペンをただ販売するだけでなく、筆記でどんなことが楽しめるのか、どんな風にペンたちを使っていくのか、そんなことも発信していきたい!と思ってこのブログをやっております。

 

 

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