
もくじ
ペンの歴史
こんにちは、Il Duomo(イル・ドゥオモ)新方です。
今回は先日ペン調整で研修をしていただいたペンドクターのあまり知られていないペンの歴史をまとめてみました。
とてつもなく昔からあった書きものの歴史

万年筆の歴史で言うと、そもそも筆記具って古代エジプトまで遡って5~6000年前、パピルスに葦の茎を削ったものをペン先にして、顔料みたいなものを砕いたものをつけて書いていたところが出発点にあるんですね。 で、さらに前のメソポタミア文明シュメールの方だと、同じように葦の茎は使ってるんですけど、紙がないので粘土板に押し付ける形だった。 だから「インクをつけてペンとして書く」っていう意味では、エジプトあたりが一番古いんじゃないか、っていう話になります。
そこから時代が下ると、中世ヨーロッパで映画とかでも見る羽根ペンですね。 鳥の羽根の軸が中空構造になってるのを利用して、専用のナイフ(クイルナイフ)で削り出して使ってた。 ただ羽根は摩耗するから、書き味が悪くなったら削り直しになるし、いい羽根がいつも入手できるかって問題もあった。
ペンが生まれた瞬間

イギリスの産業革命前夜くらいに鉄をだいぶ薄くできるようになって、「じゃあ鉄でペンの形作って使えるようにしてしまえ」ということで鉄ペンが生まれた。 ただこの段階で、インクとの相性問題が出てくるんですよね。 当時一般的に使われてたのが、いま「古典インク」として販売されているタイプで、鉄を酸に溶かし込んで作るインク。 書いた直後は色が薄くて、鉄分が酸化して定着して黒くなる。 さらに、書いた線が見えないと困るから藍(インディゴ)を加えて最初は青く書けるようにして、あとから黒ずむ。 これが「ブルーブラック」の語源で、公文書はブルーブラックで書け、っていう話にもつながってた。
ただ、この「水に強い」「長期保存に向く」っていう長所が、万年筆側ではトラブルにもなった。 放っておくと万年筆の中で古典インクが乾いて固まってしまって、普通の水洗いで落ちない。 そういうケースが増えて、結果として「普段ほったらかしでも固まりにくい」「油性インクで水に強い」ボールペンがどんどん増えていった。 万年筆がボールペンに取って代わられた大きな理由はそこですね。
ボールペン 時代の転換期

しかもボールペンは、先端にボールがあって、そのボールが真球に近いか、抜け落ちないようにしつつインクが流れるようにするか、っていう精密加工が必要で、国の工業力が出る筆記具でもある、っていう話がある。 ベアリングを作る技術と重なるんですね。 なので日本のボールペンは世界トップの一つで、逆に中国は伸びてきてるけどリフィルの評価は高くない、という見方もある。
で、その古典インクが「洗えない・溶かせない」って弱点に対して、固定インクはビタミン c 水溶液です。 酸化還元反応で酸化で定着固まった鉄分を還元反応で溶かしてるんですね。 それでこう対応しています。 開発したのは日本人のインク愛好家ですね。 ご自分で古典インク作っている方ですごいですね。 すごい。 この方の協力でプラチナさんが古典インクのカラーバリエーションを出したのがきっかけで、古典インクっていうのが再評価されてブームちょっとね、来た形になってるんですね。 溶かせるから安心して使えるよみたいな感じで そう それで流行ったんですね 。
インクブームの流れへ
これが近代に至って、再評価されるように至ったっていうのは、本当にインクブームに乗っかったってところと、個人個人が使い続けることによって、その人の手に馴染む、要はペン先のところがすり減って、その人の書き癖を覚えてくれる。 使うことでその人に合わせて育ってくれるっていうところが、受けてるという部分はかなり大きいと思うんですよ エージングみたいなものが変わってくるそうです。
このペン先のところの方も、まあこれはステンレスですけれども、古典インクっていうのは酸、硫酸とか塩酸がものによって使われているので、すぐ錆びちゃうわけですよ、鉄ペンは。 なので錆びない金属ということで金が使われるようになりました そこからが金なんですね そう、それまでは一応あの貴族階級とか上流階級の方では、もうサビないから金で作ったペンをっていうふうなのはあったんです。 ただ、金は擦り減るのが早い、柔らかいです。 なので、金があるところしか使えなかったわけですね。 で、そこに対して、ペン先のところにイリジウム、プラチナ系の耐摩耗性が高い金属ですね。 それをくっつけることを考案したやつがいまして すごい で、じゃあ金の先端のところにそのイリジウムをつけたら、こう摩耗しないで長く使えて、酸にも強い最高のペンできるんじゃないかっていう風な形で作られたわけですね。 ちなみにこのイリジウム、日本国内でも産出しています。 北海道で産出されてるんですね。 あの漫画原作でアニメあの、映画にもなったゴールデンカムイっていう作品がありますけれども、あれの中で北海道編で金掘りしてる連中が、あの金以外でもあの都会の方に売れる金属があるんだっていう風に騒いでたのはこのイリジウムですね。 で、その北海道産のイリジウムを購入してメインで使ってたのがパイロットなんです。北海道産のイリジウムってめっちゃ硬かったらしいんですよ。 パイロットが万年筆に使うようになって、当初毎日筆記具としてね、公式に使われるのが万年筆だった時代に、購入してから三年後にそろそろお手になじんだ頃でしょうかっていう伺いのハガキをパイロットが顧客に出してたんですよ。
現在と過去の使い方の違い

今と比較にならないくらい使い込んでいる時代で、 三年経ってようやく手になじんだかっていうね。 ちなみに現代だったらヶ月使えば手になじみ始めるって言われてます 3ヶ月か。 ちょっと話ずれるんですけど はい その結構最初の時点でベストの状態にしておく方がいい説と、様子見てなじませた方がいい説と二つあるじゃないですか。それ調整師の間でも意見分かれてるんです。
ただ結論から言っちゃうと、あの書き味のピークっていうのが種類あるっていう言い方が一番正しいと思うんです。 僕らの調整の方で、その人その人の書き癖に合わせてピークを本当にピークにピッっていう風に上げる形はできます。 ただ、そうすると使い込むとそのトップのピークの書き味っていうのはすぐ劣化し始めちゃうわけです。
そのペン先のところの最良の状態が劣化し始めると同時に、その人の書き癖っていうのもペンに馴染んでいって、こう使い手として調和が取れる書き味っていうのがこういう風に上がってくるんですね。 グラフの方の書き味のピークがこういう 二種類の山になるんです。 で、その人の手癖と、あの万年筆の方の状態が一致した後のピークっていうのはかなり長続きするんです おー本来、調整師が調整しないで自分で育てるっていうのは、この赤穂者の方を持続する。 書き味を長引かせるっていうふうな、そっちの方を育てるっていうふうちょうになっていくんですね。
参考文献
東京大学大学院 総合文化研究科|紙の手帳の脳科学的効用について ~使用するメディアによって記憶力や脳活動に差~
一般社団法人映像情報メディア学会|青色のストレス反応抑制効果~唾液コルチゾールによる検証~
University of Waterloo による実験(2017年)
Journal of Human Environmental Studies :伝達先記憶はソースメモリーより脆弱なのか?


