もくじ
手書きで、もっとこころは自由に。
好きな万年筆とインク。そしてお気に入りの紙。これらを、「こころを表現すること」に使ってみませんか?
Il Duomoでは、筆記生活をより豊かにするための万年筆の楽しみ方をお伝えしています。
今回は古本屋さんで詩人である庭文庫の中田実希さんの詩のワークショップにIl Duomoの店長が実際に参加し、万年筆のインクから言葉や思いを連想しながら詩を書くというワークショップをしていただきました。
記事を読んだら、みなさんもぜひ思い思いの詩を万年筆にゆだねてみてくださいね。
実は小学校1年生の時から詩を書き溜めていた私ですが、詩を誰かに習うのはこれが初めて。しかも中田さんの詩は切れ味鋭いのにどこか繊細で儚くて、はじめて読んでからすっかりファンになってしまったので、ワークショップを受けるのはとっても楽しみだったのでした。
今回は雰囲気とコンセプトがぴったりの「ギャラリーカフェ詩と美術館」にてワークショップを開催していただきました。
中田実希の詩のワークショップ
中田実希は沖縄生まれ沖縄育ち。東京で数年間勤めていたころに若松英輔の詩の講座に参加。同人誌「時の栞」に参加。詩集「ゆれる」刊行。2016年に岐阜県に移住。詩人であり古本屋。
それに対して、自分の心の中から出てくる言葉というのは、間違いなく自分自身の道しるべとなるものなのです。
ですから詩というのはそういったしょうがなく心の中からふつふつと湧き上がってくるものだと思います。
わかりやすく書こうとする自意識を働かせると、自分のためというより、人のための文章になってしまうのです。それも悪くはないですが、本当に自分を救うのは自分の言葉だ、ということを念頭に書いていくといいかと思いますね。
Step1:詩の朗読
もともと言葉とは発するためにあるもの。声に出して読むことでより詩を深く感じることができます。
中田さんが作った、いろいろな詩人の詩を集めたミニノートのなかから、「ここを読んでみて」「次はこれを」と順繰りに参加者みんなで読んでいきます。
心よ
こころよ
では いっておいでしかし
また もどっておいでねやっぱり
ここが いいのだにこころよ
では 行っておいで(八木重吉「花と空と祈り」より抜粋)
中田さんは参加者の好みの詩人を事前に把握していて、八木重吉が好きな私はこの詩を朗読することができました。声に出して詩を読むのはちょっぴり緊張しますが、言葉をしみじみと味わうことができ、また自分の声が詩を発することで詩人と自分との共同作業のような味わいとなり、感じ方が深くなりますね。
Step2:今日の気分のインクの色を選ぶ
さて、今回は中田さんとIl Duomoのコラボ企画ということで、詩の着火剤になるものを「インク」にしようと決めました。着火剤とは、なにかイマジネーションを膨らませるようなものを嗅いだり、味わったりして、そこから連想する言葉をつないでいくものです。前回のワークショップでは「寒茶」という冬につくる甘い番茶を飲んでから、言葉を連想していったそう。
今回は色彩雫を用意しました。
Step3:インクから連想する言葉などを書き続ける
中田:では、実際にインクを吸入したり、試し書きしてみたりして、心の中に浮かんでくることをノートにひたすら書いていきましょう。30分くらい時間をとります。
ほかにも中田さんは気を付けたいこととして、
- 飛躍を恐れない
- かゆいところを掻くように書く
- 詩にならなくても散文でも日記でも俳句でもよい
- 浮かんできたことはとりあえず書いてみる
ということを教えてくれました。飛躍を恐れないというのは、インクの色からかけ離れてしまっても気にせず心に浮かんできたことを書き続けるということです。
また、かゆいところを掻くように書くというのはどういうことでしょうか?
Step4:実際に詩を書こう!
(七海さんのをみてみると、もうすでに美しいダダイズム※の詩みたいで素敵でした。)
※ダダイスム(仏: Dadaïsme)は、1910年代半ばに起こった芸術思想・芸術運動のことである。ダダイズム、あるいは単にダダとも呼ばれる。第一次世界大戦に対する抵抗やそれによってもたらされた虚無を根底に持っており、既成の秩序や常識に対する、否定、攻撃、破壊といった思想を大きな特徴とする。
Wikipediaより引用
ここからは30-1時間くらいかけて詩を書いていきます。
確かに、先に言葉出しをしてアイスブレイクのような感じで心もちょっとほぐれたので、急に詩を書くよりかは格段に言葉が出てきやすくなっています。
でも実は、私はこの日の前に読んだ本の命題のことで考え込みすぎて、なかなか素直な言葉・詩が出てきませんでした。どうやら思考しすぎると、言葉が出てきにくくなるようです。というわけで中田さんに相談してみました。
Step5:詩を書く時間を生活の中に入れてみた
そんなわけで続きは後日書くことにしました。中田さんの詩のワークショップは「命を削るように詩を書く」というのでなく、「自分の心のために、詩を生活の一部にしてほしい」というゆるくて優しいもの。詩を書くことがストレスになってしまっては意味がありません。私の気が向いた時に書くことに。
ワークショップを受けてから、一日の終わりの手帳時間のあとに、「詩の時間」をつくりたいと思うようになりました。いままで放置していた私の心を表現する気持ちがむくむく湧いてきたようです。
後日、「つゆくさ」という詩を書くことが出来ました。
中学生の時、夏休みの自由研究で一行詩を1日1つ作るという課題を自分に課しました。ある朝、庭に咲いている紫露草を見て、
「むらさきつゆくさ あさ ひとしずく」
というのを書いたことありました。それ以来、紫露草は私にとってとても特別な花となりました。
紫露草へ抱いた気持ちは、なんだったんだろう?というのを探っていくと、思春期特有の「誰にも理解されない」という孤独感だったり、「もっと友人にこうふるまいたいのに出来ない」という自我のかたまり、そして、ただただ美しく咲いて立っているだけの、淡い紫の花が、憧れのように中学生の私に迫ってきたのかもしれません。その思いが、十数年経った今、新たな詩に昇華したような作品に仕上がりました。
良い詩かどうかはわかりません。でも、詩のワークショップのとき感じた「かゆいところ」をちょっとだけでも掻くように書けたのではないかなと思います。
お気に入りの文具で書く詩の時間は豊かだ
詩を書くのに万年筆は必須ではありません。でも、今回好きな色のインクを使い、大切にしている万年筆を使って、好きなノートに詩を書くというワークをしてみて、ただ単純に書いている時間が上質に感じました。
現代ではモノが溢れ、お金があればなんでも手に入る世の中です。物質的には豊かな生活をしていても、だからこそ、実は忙しすぎて自分の心をないがしろにしていたり、その延長で他者につらく当たってしまったり、ネガティブ思考になってしまったり。そんなことも多々あるのではないでしょうか。心が豊かでないのに、本当に豊かであると言えるのでしょうか?
心は誰にも干渉されることのない自分のもので、自由であるはずなのに、他人の目を気にしたり、自分の意見を通すことばかり考えたり、不自由になりがち。手書きと詩は心を自由にしてくれるツールのひとつです。
忙しい時、苦しい時、ちょっと思考を一休みして、丁寧に万年筆にインクを入れてみる。
美味しいコーヒーでも飲みながら、自分の心の声に耳を傾けて、それをとことん言葉にしていく。
それが詩になる。
それって豊かな時間ではないでしょうか?
自分の心をちょこっとでも救いたい、表現してみたい、ちょっと心の一休みをさせてあげたい。そんな方はぜひ中田さんのやり方で詩を書いてみてはいかがでしょうか。
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