pineiderの工房で万年筆をつくるところをみてきた

Pineider(ピネイダー)は皆さまご存知でしょうか?

イタリアはフィレンツェにあります、高級な紙と文具などを作る会社です。

ピネイダー ラグランデベレッツァ 万年筆 マラカイトグリーン ¥49,980

最近、美しい軸としなやかなフレックスニブで話題を集める企業なのですが、まだあまり情報は出回っていないようですね。

そんなピネイダーの本社(イタリア・フィレンツェ)に、この秋Il Duomo店長がお邪魔してきましたのでレポートしていきますよ~!

前ビスコンティ社長のダンテ氏がオーナーに就任

YouTubeのほうでちらっとお話しましたが、ビスコンティの社長が変わったとの話はご存知でしょうか。

2017年までの社長さんは創業当時から変わらないダンテ・デル・ベッキオ氏でしたが、昨年から経営陣ががらりと変わっています。

もともと万年筆コレクターとして有名だったダンテ氏は、ビスコンティを退陣後ピネイダーのオーナーに就任し、そんなに有名ではなかったピネイダーの万年筆&文具関連業のほうにかなり力を入れ始めたようなんですね。

後から出てきますが、吸入機構や見た目の面白さが大好きなダンテ氏らしい、面白い万年筆がピネイダーから今後たくさん出されてきそう…!

Pineiderがある場所は…

ピネイダーがあるのはフィレンツェの郊外、丘の緑が美しい風光明媚なところでした。
オフィシャルショップがフィレンツェの市街地にあるのですが、私が行ったのはオフィス兼工場のほうでした。

 

 

イタリアらしくとても洗練されて美しいロビーに通していただき、カタログを眺めつつお待ちしていると、広報のマリアさんが出てきてくださり、案内してくれました。

 

ピネイダーは1774年に創業され、もともとは製紙の会社でしたがその後文具やレザーグッズも手掛けるようになりました。
フィレンツェはルネッサンスの興った街として有名ですが、ルネッサンスと言えば芸術・絵画ですよね。
そのためにフィレンツェでは画材を作る職人業も盛ん。水彩紙などの紙の生産でも知られているんです。日本の和紙と同じような技法で作る手漉きの紙でつくったレターセットなどもピネイダーは生産していますよ。

この製紙技術のすごさは後ほど書きますね。

ピネイダーの万年筆を作るようすを見学

ピネイダーはもともと製紙工場だったこともあり、工場の9割は紙関連の作業場&倉庫になっていました。残りの1割が文具&レザーエリア。

 

組み立てる作業を見せてくれました。

 

イタリア万年筆の特徴でもあり、大量生産・販売が難しい理由でもあると思うのですが、イタリア万年筆って軸のレジンの柄に個体差がありますよね。

 

例えばこれ、同じラグランデベレッツァのアルコ

微妙に柄が違っています。

それについてはイタリアの方はどう思っているのでしょうか。

 

職人のマルコさん(↓写真左の男性)に聞いてみました。

マルコさん「美って言うのはさ…全体だ。全体を見て、美しくなればいいんだ。ひとつひとつ違うのは、人間だって同じさ。

でも、レジンにも『面』があるからね。そこはちゃんと見ているよ。

一番美しい面を表に出したいから、表側にクリップやキャップリングの表を付ける。クリップやキャップリング、天冠をつけた完成形が、全体として美しくなっていればそれでOKだと思うんだよねえ。

 

あと、このペンたちはマグネティックロックで、面によっては反発する部分があるじゃない。だからカチッとはまるところに、美しい面を持ってくるように組み立ててるよ。」

 

私「なるほど、ただ組み立てるだけでなく、面を見ながら作業されてるんですね。美的センスが求められますね。」

こちらはハチの巣のような構造をした新しい形のスケルトン万年筆!さすがダンテ氏、面白い万年筆を作ります。

これもダンテ氏が考えた構造の万年筆で、中にバネが入っており、シャーペンのように尻軸をノックするとピストンできるようになる構造の吸入方式です。ブラックとローズゴールドの組み合わせがとても綺麗で、面白いペンでした!

ピネイダーのキャップリングに書いてある意外なこと

ピネイダーのキャップリングの裏面には、なにか長い文章が書いてあります。

読んでみると

A quick brown fox jumps over the lazy dog.

と書いてあるのですが…。

 

私「すばしこい茶色の狐が怠惰な犬を飛び越えた…??これはどういう意味?なぜここに書いてあるの?」

と聞いてみますと、こんな答えが返ってきました。

 

マルコさん「A quick brown fox jumps over the lazy dog. は、カリグラフィーの練習の時によく使う文章で、AからZまですべてのアルファベット26字をすべて用い、かつ重複をなるべく少なくして文章が構成されてるんだ!」

 

私「なるほど、日本でいうところの、いろはにほへとちりぬるを…だね」

 

マルコさん「書き味を試すときなんかにも使ったりするよ。特にピネイダーはフレックスニブを推してるし、紙専門の会社だったことから、カリグラフィーには一家言あるわけさ。専属カリグラファーもいるし。ピネイダーはカリグラフィーに本気。そんな意味でこんな文言を入れてるんだと思うよ。」

 

フレックスニブというのは、筆圧の強弱などで線の幅を自在に変えられるペン先なのですが、基本的にピネイダーはフレックスニブが装着してあります。

通常使われやすい、買われやすいのは普通のペン先なのに、フレックスニブを推しているのには、そういったピネイダーの歴史や強みが関係していたのですね。

クリップ部は羽ペンを意識して

さて、クリップは羽の形をしています。鉄ペンの「アバター」というラインがあるのですが、そちらもクリップは羽の形なのですが、ラグランデベレッツァのクリップの方が精巧なつくりをしています。イタリアらしい曲線美のある羽ペンの形。

これも「筆記とは…」という哲学に向き合ってきたダンテ氏だからこそ生み出せたものなのかもしれませんね。

デザイナーさんのカリグラフィーが印刷に超重要

「はい、ダンブルドア校長だよwww」と紹介されて出てきたのが、この方。

一瞬意味が分からなかったので、???となっていると、

「ほらー、あれだよ、ハリポタの。ダンブルドアだよ~」とみんなで大笑い。

 

この方が、ピネイダーの専属カリグラファーさんでした。本人は穏やかに苦笑い。

 

見た目は確かにダンブルドア校長ですが、手先はものすごく繊細…!

なぜピネイダーに専属カリグラファーが必要かというと、ピネイダーの印刷技術に理由があります。

 

ピネイダーの印刷には手彫りの版が必要

ピネイダーは、製紙をするほか、ハイブランドの名刺や便箋に名前を印刷するという仕事も請け負っています。

 

たとえばサルバトーレ・フェラガモの便箋はピネイダーのものです。普段使うものではなく、おそらく上客への招待状などに使うのだと思います。

 

ピネイダーの印刷は、古い伝統的な技術を使っています。4色刷りなら4種類の版を作り、一回ずつスタンプし、乾かしてから次の版…という、現代の技術からするととても気の遠くなるような作業で出来上がっているのです。

そのぶん、できた印刷は色も形もレトロでエレガント。とても特別感ただよう印刷物になります。

 

そのすべての版をデザインし、彫るという作業をさきほどのデザイナー兼カリグラファーさんが一手に担っているのです。

 

この写真↓の後ろに貼ってある紙は、すべて彼がデザインしたもの。

というわけで、名前の印刷部分も手彫りで一個一個つくるわけです。

ですのでカリグラファーが必要、ということ。

完全オーダーメイドのカリグラフィーの版なんて、ピネイダー以外にはないのではないでしょうか。

 

彫るのも手彫り。ルーペを使って詳細を確認しながらの作業です。

 

美しいデース…

 

ピネイダーの製紙、印刷はとにかくアナログ感重視

こうしてオーダーメイドで請け負ったものは倉庫に保管されていました。とにかく紙エリアが広い!

こんな機械で印刷をしています。

こんなレトロな機械です。↑写真右側に、インク缶があります。インク補給も手作業で…。

上から版ががっちゃん、がっちゃん、と降りてくるところに、人間が紙をサッと入れてスタンプしていくわけです。

しかも、ズレがないか確認しながら。多色刷りだと少しでもずれると目立ってしまいます。

 

なかなか気の遠くなるような作業です。

同行したペンマニア「俺には無理だあ…」

俺には無理だといったって、職人さんたちも最初からこの気の遠くなるような作業ができていたわけではないと思います。実際、かなりの集中力が必要なのでとても大変そうでした。

どれだけ大変かは、上の職人さんの作業場を見ればわかりました。

 

機械や作業台に、イエス様やマリア様の御絵が貼られていたのです。

言わずもがなイタリアはカトリック教国です。おそらくこの職人さんは敬虔な教徒だと思われるのですが、それにしても機械にイエス様を貼るだなんて、祈らなければ集中できないほどの作業だということでしょう。

祈りながら黙々と仕事をする姿が、胸を打ちました。

 

アナログな技術を使った便箋や封筒たち

便箋や封筒も、特別な伝統技術を使って作られています。

この↓レターセットの青い部分は、実はさきほどの印刷技術を使って、1枚1枚スタンプで作られています。大量生産される工業製品では見ることのできない、線の微細なゆらぎが、ハンドメイド感を醸し出しています。

紙も、いろいろなランクがあり、最高級のものは手漉きの和紙のようなデコボコしたものがありました。

 

こちら↓の紙はウォーターカットという技術を使っており、高速で噴射される水を使って紙を切るのだそう。そうすることで、ざっくりしたハンドメイド感のある紙が作られるということです。

ちなみにこのレターセットたち、ピネイダーのペンボックスに入っているんですよ!

 

貴重すぎて使えない?いえいえ、ぜひ大切なあの人へのお手紙にどうぞ!

ピネイダーは誇り高き伝統を大切にする企業だった!

正直、こんなにアナログ感のあるところだとは思いもよりませんでした。日本人の感覚からすると、たしかにアナログな技術の製品は美しいけれど、時間がかかるしコストがかかる。

紙も、もっと大量生産したらもっと儲かるのに…。「カイゼン」したほうがいいじゃない、とついつい。それで、購入者も安くてそこそこ良いものを選ぶ傾向にありますよね?

 

でも、イタリアは違います。「美しいものは良いものだ。良いものは良い。高いのはしょうがない。良いものを選んだほうがいい。」最高級の良さを国民全体がわかっているから、伝統的な産業がつぶれない。ハイブランドなどは率先して伝統的な製品を選ぶ。結果、本当に美しいものが受け継がれていく。

 

フィレンツェの手縫いの靴なんか、美術館級に綺麗です。それがいいとちゃんとわかっており、職人さんから直接買うわけです。

 

フィレンツェ人はよく「パッショーネ」という言葉を使います。パッション、情熱のこと。

 

フィレンツェは古くから職人の街として、独自の文化が息づいてきた場所ですが、職人だからこそできることがある、職人こそが一番美しいものを作れるんだという誇りが、そこかしこに現れているようです。

 

今回ピネイダーにお邪魔して、ダンテ氏にはお会いできませんでしたが、何よりピネイダー自身のポテンシャルやこだわりを感じられたことが収穫だなと思いました。

 

ピネイダーのペンたち

今回の旅で見てきたピネイダーのペンたち、見た目・質ともに太鼓判です!ぜひご覧ください~!

 

 

ピネイダー 限定生産品 ラグランデ ベレッツァ アルコ 万年筆 ¥94,580  

アルコとは、バイオリンの弓のこと。実物は奥深い透明感があって、吸い込まれそうなブラウンでした。

 

ピネイダー ラグランデベレッツァ シリーズ 万年筆 ¥49,980

ラグランデベレッツァシリーズは、宝石の名前で「タイガーアイ」「ロードナイトレッド」「ラピスラズリ」「マラカイトグリーン」そして「ブラック」があります。マーブル模様が美しいです。

 

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