どうなる?体制変更後のVisconti(ビスコンティ)。本社から現地レポ!!

Viscontiの本社工場に行ってきたよ

こんにちは!Il Duomo店長の佐藤です。
9月末に、イタリア万年筆の旅をして参りました。
実は、いままで私はイタリアへは行ったことはありませんでした。

 

Il Duomoを立ち上げる前からイタリアにはとても興味があり、イタリアの小さな村シリーズとか、関口知宏のヨーロッパ鉄道の旅、ふれあい街歩きイタリア編などは大好きでよく録画して観ていたのですが…。

万年筆を通してでしか、イタリアを見たことがなかったので、やはり一度イタリアへ行って見ないと、その空気感はわからないよね!ということで、今回ビスコンティと、ピネイダーとスティピュラの視察を兼ねてイタリアに行って参りました。

 

フィレンツェ、モデナ、ミラノに行ってきたのですが、万年筆の旅は主にフィレンツェ。

 

イタリアは最高でしたよ…!特にフィレンツェは青空美術館とも言われていて、町中に彫刻や芸術作品がごろごろ点在し、建築もルネサンス期のものが多く、革小物や靴、ハイブランドのお店など、超一流の宝庫で、フィレンツェを歩くだけでお腹いっぱい。

こんな街に住んでいたら、そりゃ芸術センス良くなるわ…と思いましたよ。

 

そう、そんな芸術の街でビスコンティは生まれたんですね。

Visconti(ビスコンティ)がある場所は…

Visconti本社はフィレンツェの郊外にあります。ちなみにショップはチェントロ(市街地)にあります。

 

 

本社のほうは、昔ながらの馬車が通っていたという(日本でいうと中山道のような)くねくね道を車でチェントロから20分ほど。
自然豊かな地域に本社のある元・城はありました!敷地内に森があるという広さです。

 

ちなみにこういったお城というかお屋敷は、イタリアには各地にあります。
敷地周りを歩くと30分以上かかるお屋敷は想像以上に多く点在していました。昔からの貴族はいまだにお屋敷に住んでいるらしく、「こういうお屋敷に住んでいる人は広い敷地を利用してワイナリーを持っていたりとか、昔からの土地などの資産を運用しているから永代お金持ちなのよ~」と現地の方に教えてもらいました。

 

日本ではマッカーサーによる農地改革が行われ地主と小作人という関係が壊されたので、このような広大な敷地を持つ貴族のような存在はあまり見かけませんね。

貴族の城をリノベーションした芸術的な外観

そんな貴族の城だったところをVisconti社がリノベーションしています。コの字型の典型的なお屋敷の1階をリノベーションして、オフィスと工場に変えていました。

 

↑こんなルネサンス時代の扉に、オートロックが付けられているのがイタリアでは当たり前なのですが、日本なら蔵がオートロックくらいの衝撃です(笑)。温故知新ですね。

もともと部屋がたくさんあった場所で、当たり前ですが工場用に作られた建物ではありません。
ですのでレジンを削る場所で1部屋、組み立て(アッセンブリー)の部屋で1部屋、出荷の部屋で1部屋、というように、流れ作業ではなくて1段階ごとに部屋が分かれていました。

思いもよらないところに階段があったり、城をリノベした感のあるルネッサンスな装飾が、歴史を感じさせました。

 

 

実際の軸を削る現場は、一人の男性が責任者で、普段もひとりで現場を担っていると言っていました。

 

大きな工作機械がいくつかあり、おおもとのパソコンにデータを入力すると、クリップや軸などを削りだしてくれる仕組みで完全にオートマチックでしたが、ライン作業ではなく、1つずつデータ入力して、レジンをセットして…という風にチェックしながら進めているようでした。

 

レジンの削りカスがとても綺麗で思わず撮影。

 

組み立ての現場は職人さんがたくさんいる部屋で、黙々と作業が進められていました。

 

 

こちらではディヴィーナの組み立てを行っている方、ホモサピエンスを組み立てている方、ペン先をチェックしている方…などいろいろな作業を1部屋で行っているようでした。

 

勝手なイメージで、イタリアの職人さんはワイワイガヤガヤ作業をしてるのかなと思っていましたが、かなり静かに作業されていました。音楽もなく、黙々と。

でも話しかけると冗談を言ってくれたり、笑顔で返してくれたりとそこはやはりイタリア人。みなさんお優しかったです。

 

撮影NG!コアな仕事場、試作品ずらり

美しい軸が生み出されるデザイン室も入ってしまいました!試作品や、未発表のペン、いままで作られてきた限定品などがずら~り。これは…!萌える…!

 

デザインは、長年ビスコンティに勤める数名の方がコアメンバーでチームを組んで動いているようでした。

 

最近発表されたゴッホシリーズの新作も写真撮影中でしたよ!

 

ビスコンティ ヴァンゴッホコレクション 万年筆 クリスマスボックス

 

色合いがとてもかわいくて、思わず写真を撮りたくなりました。

 

が、当時はリリースされていませんでしたので、写真はNGでした。

マネージャーさんとお話…これからのビスコンティ

さてさて、本日のハイライト。今回運よく、ゼネラルマネージャーのフランチェスコ・ポジェッシ氏とお話する機会を得ました。(右の方)

実質の社長さんに当たる方なのですが、とてもスタイリッシュで真面目な印象の方でした。
ご存知の方も多いかもしれませんが、前年度に、1988年創業以来の社長であったダンテ氏がオーナーを辞め、経営陣がガラリと変わるというビスコンティの歴史では衝撃的な出来事がありました。

 

イタリアの万年筆業界にも波紋は広がり、その後のビスコンティの動向に注目が集まっています。

 

現在のゼネラルマネージャーであるフランチェスコ・ポジェッシ氏はミラノでアパレル関係の貿易の仕事を長年されていたそうです。
ミラノと言えばミラノコレクションが有名で、アパレルのメッカですよね。イタリアのアパレルブランドは海外輸出の配分が大きいので、今回のビスコンティの人事改編でも、海外輸出に長けているフランチェスコ・ポジェッシ氏が起用されたのだと思います。

 

ちなみに広報部なども人事がガラリと変わったらしく、フランチェスコ氏のようにアパレル関係出身の、しかもミラノ界隈の方が多くいらっしゃいました。

 

私「ビスコンティの今回の社長交代劇で、今後ビスコンティがどうなっていくのか知りたがっている人が多いと思います。」

 

フランチェスコ氏「私も就任したばかりで、いまはビスコンティの現状把握などに取り組んでいる。こうして声を聴けるのはうれしいことです。」

 

私「これから何を変えて、何を変えないのか、気になります。例えばスチールニブの変更はとても喜ばしいことでした。デザインは変わりましたが、書き味が安定したので、自信をもって販売できるから。あとゴッホの箱も変更しましたよね。」

 

フランチェスコ氏「何を変えて、何を変えない…。そうですね、いままでダンテ氏が作ってきたペンたち、ブランドの強みは活かしていきたい。それに魅せられたコレクターたちをがっかりさせたくはないと思う。いままでのビスコンティは、面白い機構のペンや黄金律を取り入れたデザイン、珍しい素材のペンづくり…には長けていたが、品質を一定させることや経営に関してはあまり気を使ってこなかったように思う。

 

これからの私の任務は、ビスコンティのブランドをより強固にしていくこと。

より広い世界に出てもイタリアブランドとして胸を張って輸出していけること。

興味深いものづくりはしているから、認知度をもっと上げていくこと。

圧倒的に認知度が足りない。」

 

フランチェスコ氏「ところでこの箱はどう思う?(ゴッホシリーズの箱を指す)」

 

私「正直、前の三角錐の箱が良かったとお客様に言われることはあります。中の絵も全面じゃなくて縦長でトリミングされているし。」

 

フランチェスコ氏「これはトリミングじゃなくて、…ブックマーク(しおり)なんだけど、知らなかった?」

 

この絵の描いてある紙のこと↑

 

私「え・・・・!( ゚Д゚)」

 

フランチェスコ氏「イタリア人であればこの形を見ればブックマークであると瞬時に気づくけど、日本人はそうではない?」

 

私「う~ん、気付かなかったです。日本人にとってはこのブックマークは大きすぎですね(笑)日本はしおりも小さいんです。本も文庫はすごく小さいし。この形を見てブックマークと気づく人はあまりいないかも…ホームページで伝えますね。」

 

フランチェスコ氏「よろしく(笑)」

 

私「あと、ホモサピエンスやミリオネアシリーズのような、面白い素材を使ったペンは他のブランドにはなくて、とても好きです。石の肌触りは心地いいですし。こういうのもっと作っていただけると嬉しいです。」

 

フランチェスコ氏「そうなんだ!OK」

 

同席していたイタリア人ペンマニア「あのね、金ニブでホモサピエンスより安い価格帯のものがあると、顧客は買いやすいと思うよ。いまレンブラントやゴッホシリーズがスチールニブ帯であって、パラジウムニブになると急に7,8万円(日本の値段で)とか、跳ね上がるじゃない。お客さんにとってはとても手を出しにくい価格だよ。4万円代(日本の値段で)で金ニブのペンがあるととてもいいなあと思うよ。

 

あと、いままで限定生産品を888本ってのが多かったじゃない。ちょっと多すぎる気がする。200本くらいずつでいいんじゃない。888本ってけっこう多いよ。」

 

勝手に経営に口を出し始めるフィレンツェ人w

 

フランチェスコ氏「なるほど、参考になります。」

 

 

そのあと、イタリア人同士で議論というか、ヒアリングが長い間続きました。

私は残念ながらイタリア語はわからないので、室内の写真を撮らせていただきました。

 

社長室にあるビスコンティの歴史たち

 

以前はダンテ氏の部屋だったであろう、社長室にはビスコンティの歴史を彩ってきたほとんどすべてのペンが収蔵されています。

いまではプレミアがついていて手に入らないものもたくさん…。

 

クリップ部の変遷、素材の変遷も見ていると面白いですね。

 

ビスコンティは初期はクリップが現在のブリッジ型ではなく、普通のクリップでした。形もいまのものとは違って、さらにクラシカルな雰囲気です。

 

ディヴィーナやゴッホコレクションは、クラシカルな雰囲気も残しつつ、洗練されたデザインですよね。

フランチェスコ氏が好きな日本の文具…

さて、最後に日本からのお土産を差し上げました。

日本のガラパゴス文具です。

何をプレゼントしたかというと

 

御朱印帳。


御朱印帳 40ページ 蛇腹式 ビニールカバー付 モダン柄 梅柄縞模様(黒)

 

「寺や神社のスタンプを集めるノートです。」と伝えると「寺のスタンプ…???」となっておられましたので、「ノートにしてください。」と言いました。

 

空柄便箋。


アピカ 便箋 LE655 To the sky

 

和風なおもしろ付箋…


学研ステイフル ココロ結び 付箋 粗品 M03496

 

これは「ん・・なにこれ・・?」となっておられたので、「ポストイットですよ」というと、「これが?!」と驚いておられました。

 

フランチェスコ氏はもともとアパレルメーカー出身だと前述しましたが、イタリアのアパレルの一大消費国と言えば日本も当てはまるわけで、日本には何度かいらしたことがあるそうです。

 

「無印良品のノート大好きなんだよね。良い紙なのに安くて使いやすいのでいっぱい買い込んだよ」

と顔をほころばせながら教えてくれました。MUJIノートいいですよね。

 

ちなみにイタリアは日本ほど大量生産の技術が進んでいないというか、大量生産をあえてしないようなお国柄なので、工業製品は全体的に高価です。 万年筆が裏移りしないようなノートを買おうと思うと、1000円弱くらいはしてしまいます。 100円のノートはザラザラで、日本でいう藁半紙のような質感。そういったノートは主に小学生が使っています。 そう思うと日本の100円ノートの質の高さったらありません。

フランチェスコ氏は親日

「僕は日本人好きなんだよね」と、こんなエピソードを話していただきました。

 

「日本人って、接待で料亭に行くじゃない。で、アパレルの仕事の商談で料亭に僕も行ったんだよね。

それで、日本人って『まあまあ、どうぞどうぞお飲みなさい』ってどんどん酒を注いでくるわけだ。わいわい大盛り上がりでね。

僕はそんなにへべれけに飲むことそうないから、その席で久しぶりに酔っぱらっちゃった。で、そのままタクシーで帰ったと思うんだけど、ホテルで朝目を覚ましたら

 

財布がない!

 

あー、マンマ・ミーア。
もう財布は従業員の懐の中だ。そう思いつつも、一応、料亭に電話をしてもらったんだよね。

 

そしたら…

 

ちゃんと取ってあったんだよ!!!すぐに取りに行ったら、袋につつまれて財布が運ばれてきて…

 

びっくりじゃない?

イタリアなら本当に起こりえないことだよ!

 

それから僕は日本びいきなんだ。素晴らしい国民性だ。」

 

日本人としては非常に誇らしいお話でした。

イタリアでも高級レストランであれば財布取っておいてくれるような気もしつつ…でもそんなへべれけのどんちゃん騒ぎした店で、財布が取っておかれてるとは思わなかったのでしょうね。(イタリアでは高級レストランで酔っぱらうほど飲むことはあまり無い…)

 

みなさんも財布をみかけたら交番に届けてくださいね。笑

まとめ

後日、ビスコンティのクリップのデザインの元となったヴェッキオ橋に行って、ヴェッキオ橋がどんなものか見てまいりましたよ~!橋の上に所狭しと宝石店が並んでいる様子は、まさに「耳をすませば」の童話の中の世界…!(おわかりいただけるだろうか)

ちなみにダンテ・デル・ヴェッキオさんが創業者なのでヴェッキオ橋のデザインのクリップにしたのではないか、と私は睨んでいます。

ダンテ氏が社長を退いたことにより、たくさんの人事異動があったであろうビスコンティですが、おそらくフィレンツェ人で固めていた時とはまったく違う雰囲気の職場だったんだろうな、と感じました。

 

ダンテ氏はもともと万年筆収集家で、ライフワークとして万年筆メーカーを始めたようなところもありますから、「楽しんで万年筆をつくる」という雰囲気の会社だったと思います。
実際、ダンテ氏は会っても冗談ばかり言う、太陽のように明るい生粋のフィレンツェ人だそうですから。

 

今回ダンテ氏にお会いできなかったのは残念でしたが、次回は必ず会いに行こうと思います!

 

日本人の私としては、北のミラノ人で固められた職場は真面目な雰囲気で非常に安心できました。海外輸出を見据えた品質の安定、洗練されたデザイン、管理された納期…が期待できるのではないかと思いました。

 

ホモサピエンスのデモンストレーターなどは変わらず美しいものが発売されていますから、もともとビスコンティのデザインが好きな方も、楽しめるのではないでしょうか。

イタリア出張で出会ったペンたち

こんなペンたちが絶賛生産中でした!工場で生産現場を見ると、店長としても愛着がわいて思わずお勧めしたくなります!

 

ビスコンティ ヴァンゴッホコレクション クリスマスボックス

2018年11月リリースの特別仕様のクリスマスボックス!実物をリリース前に拝見しましたが本当に綺麗!緑のほうもパッと明るいすごく目立つ色で、こんな緑は見たことがありません。

 

限定生産品 ビスコンティ ホモサピエンス ブロンズ スワール 万年筆

ビスコンティはそのホモサピエンスシリーズの形をもとに、特別なアクリルレジンを使って美しいデモンストレーターを毎年限定888本のみ生み出しています。

 

ヴィスコンティ ディヴィーナファッション ピンクゴールド 万年筆

女性向けのライン。ディヴィーナ独自の螺旋部分の金色が、ネイルみたいに本当にキラキラしていて綺麗でした!女性向けでこんなに迫力あるペンはなかなかありません!

 

世界888本 ビスコンティ 万年筆 キャンティシャーレ

ホモサピエンスの限定スケルトンは本当に美しい。セルロイドとアクリルを混ぜたアクリロイドという素材が使われています。

 

 

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店長
はじめまして!Il Duomo(イル・ドゥオモ)店長の佐藤です。

私は、幼少期から絵や文学(短歌とか詩)などが好きで、文具が大好きでした。

 

大人になってからヨーロッパ文具の美しさと独特の味わいに惹かれて、万年筆の通販サイトをはじめました。

主にイタリアのペンを中心に扱っています。

 

私自身、万年筆を使い始めてから手帳に向かい合う時間が増え、いっとき辞めていた詩歌の趣味も、あらためてはじめることができました。

そんなことから、わたしは筆記で人生はもっと豊かになると信じています。

 

万年筆・ボールペンをただ販売するだけでなく、筆記でどんなことが楽しめるのか、どんな風にペンたちを使っていくのか、そんなことも発信していきたい!と思ってこのブログをやっております。

 

 

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