もくじ
万年筆のためのロールペンケースが欲しかった
みなさん、文房具にこだわりってありますか?
誰でも、仕事や勉強など、毎日手書きをする場面はあるかと思いますが、それでもパソコンやスマートフォンが普及した現代では手書きで文字を書く機会はずいぶん減っていますよね。
Il Duomoでは日常の手書きシーンを彩るヨーロッパの輸入万年筆を販売しています。
万年筆はインクの色を気分に合わせて替えたり、なめらかな書き味を楽しんだりと、身近な文具に比べて、より特別感が感じられる文具です。
もちろん、お手入れが必要であるなど、手間もかかりますが、それゆえ愛着もわきやすいのです。
特別な文具であるからこそ、特別なペンケースに収納したい。
Il Duomoでは常々、太軸が多い舶来万年筆に合うロールペンケースがないものかと考えていました。
ボールペン用や、細い軸用のロールペンケースはたくさんありますが、Il Duomoで扱う万年筆とはサイズが合わなかったのです。
美しい外観を持つとっておきの万年筆。
自分だけのお気に入りの一本を納めるペンケースも、美しい外観から物語を感じられるものがいい。
そのような想いから、Il Duomoは手縫いにこだわる革作家・Lucky Soulとコラボしてロールペンケースをつくりました。
動画にて、ロールペンケースへの思いを語ってますので、ご覧ください!↓
こだわりぬく革への思い
Il Duomoが作ったイタリアンレザーのロールペンケースには、フィレンツェの工房でなめされた最高級のミネルヴァボックスという革を採用しました。
植物性のタンニンでなめされた後、時間をかけて動物性油脂を刷り込ませ、革職人によって最高の状態に仕上げてあります。
たっぷりのオイルを染み込ませてあるおかげで、ご自身でオイルを塗る必要は無く、多少の傷もこすれば消えやすいので、お手入れも安心です。
シボという革表面の凹凸が自然な風合いを持つのもこの革の特徴のひとつ。
ひとつひとつのシボの風合いに個体差はありますが、ご自身の手元にやってきた唯一のロールペンケースの風合いの変化を楽しんでいただくことができます。
ミネルヴァボックスの製法は死にかけていた⁉
ミネルヴァボックスを作っているバダラッシカルロ社の創業者は、もともと中世時代の革鞣し(なめし)の工程についての研究者だったそうです。
しかし、中世の植物性タンニンや動物性油脂だけを使った鞣し(なめし)というのは、現代ではすでに後継者がおらず、風前の灯火でした。
なぜなら合成タンニンを使ったほうが楽だしコストも安い。大量生産ができるからです。
しかしバダラッシカルロの創業者はあきらめず、この植物性タンニンだけを使った鞣し方法を研究し、現代に蘇らせることに成功したんです!
それがバケッタ製法。
1000年も前から、イタリア・トスカーナ地方に伝わる製法です。
その製法でできた革こそ、ミネルヴァボックスだったのですね。
なんとも感動的な、信じられないような話です。奇跡の革といわれるゆえんがここにあります。
そうしてその創業者が立ち上げたのがバダラッシカルロ社でした。
いまでもミネルヴァボックスは数がかなり限られ、日本に入ってくる数も希少なのですが、なんとか仕入れに成功しました。
革作家・Lucky Soulの水川慎治さんと
そして、Il Duomoがデザインしたロールペンケースを実際に作っているのが、革作家・Lucky Soulの水川慎治さん。
岐阜県恵那市岩村町に工房を構えるオーダーメイドオンリーと手縫いにこだわる革作家です。
オーダーメイドの作品作りの際は、1点からでも必ず試作品を作り、使い勝手やデザインを確かめてから本番に臨むというこだわりと、丁寧な仕上げに定評があります。
水川さんが手縫いにこだわる理由は「丈夫さ」。
革製品のほとんどがミシン縫いで製作されていますが、実は手縫いはミシン縫いよりもしっかりと革同士をくっつけることができるので、丈夫に仕上げられるのです。
ステッチは手縫いで一番細かくできるギリギリの幅を選んでいます。丈夫さに加え、目が細かいとさらにエレメントに見えます。
しかし、手縫いはミシン縫いの何倍も時間がかかります。
細部までこだわり抜いて作るため、このロールペンケースは一日にひとつしか作ることができません。
実際は何日もかけていますが、数個まとめて作るので、ならして考えるとだいたいそのくらいなんだとか。
コストも時間もかかりますが、丁寧に作り上げるのには理由があります。
「万年筆を使う人は美的センスやこだわりがある人が多いだろうから、
ディテールに手を抜かず、目に留めないようなところもかなりこだわった」という水川さん。
革のふちを小さな革用カンナで面取りし、コテで熱処理するのも、いまではほとんどの革工房がめんどうでしないようなことなんだとか。
この写真に見えている細長いひもは、カンナで革を面取りした筋!その細さ、わずか1㎜以下。
ものすごい繊細な作業です…。
Il Duomoの想いと革作家 Lucky Soulのこだわりがつまった、一生使えるロールペンケースはこうして誕生しました。
イタリアの地名シリーズ
ロールペンケースは2色から選ぶことができます。
イタリア万年筆を多く扱うIl Duomoだからこそ、イタリア感を前面に押し出したかったので、
イタリアの地名になぞらえたコンセプチュアルなデザインに仕上げました。
「アッシジ」と「コモ」の特色をそれぞれご紹介します。
<アッシジ~巡礼地の夕暮れ>
アッシジは、イタリアのウンブリア州に位置しています。
小高い丘の上にあるアッシジは、イタリアの守護聖人であり、第二のキリストとも呼ばれる聖フランチェスコが生まれた町。
清貧の聖人フランチェスコが修道会を開いたことから、イタリア人のみならず世界中のカトリック教徒の巡礼地として知られています。
外側は焦げ茶色の革ですが、経年変化とともにダークな色合いに変化していきます。
黒はアッシジの修道士が身にまとう修道服、そしてアッシジの精神性を表す清貧の色。
時間はかかりますが、ゆっくりと色の変化を楽しむことができるでしょう。
内側は万年筆を傷めないように、オレンジ色の柔らかなピッグスエードを貼りました。
アッシジには中世に建てられた教会が多く、夕暮れ時には茜色に照らされて、目を見張る美しい光景が広がります。
アッシジの夕景はイタリアの最も美しい情景のひとつと言えます。
ステッチの色はフォレストグリーンを採用しました。
ウンブリア州はイタリアの中でも最も森が深い地域のひとつです。
「イタリアの緑の心臓」とも呼ばれるウンブリア州には、自然の安らぎを求めて多くの人が訪れています。
<コモ~湖水地方の山脈と水>
コモはイタリア北西部、コモ湖南端のほとりにある町で、スイスとの国境に接しています。
コモ湖は透明で美しく、イタリア北部らしい青い山脈に囲まれた人気の避暑地です。
涼しく、自然の美しさを感じられるコモの山脈と水の青さをイメージしてデザインが仕上がりました。
外側の革はグリーンに近い濃い青色。これはコモ湖を取り囲む山々を表しています。
コモでは市街地から離れると、ちいさな菜園を営む村人も多く、山の恵みで豊かに暮らす人々のあたたかな気配がそこにはあります。
内側にはブルーグレーのピッグスエードを採用し、コモ湖がたたえる透明感のある湖水を表現しました。
湖水地方のゆったりとした時間の流れを感じられることでしょう。
ステッチには桜ピンクを採用。コモは気候や景色が日本の東北と似ていると言われています。コモは実際に東北の町と姉妹都市にもなっているとか。また、蚕の産地でもあり、産業の面でも日本と似ています。桜は咲いていないかもしれませんが、日本と似た気候ということでオマージュしました。
設計へのこだわりは細部に
Il Duomoと革作家・Lucky Soulはロールペンケースの試作を繰り返し、使い勝手が良いようにと修正を重ねてきました。
ペンの収納部分には太軸の万年筆でもすんなりと入れられる余裕のある幅とゆとりを設けました。
扇形の革にたわみを加えながら縫うという技術でしっかりと作り込まれています。
さらに、キャップのすぐ下を持って取り出せるので、キャップに余分な負荷がかからない設計になっています。
本体を固定する紐もすっきりと2周で巻ききれる長さを目指しました。
また、紐の先端にアクリルの芯が入っていることにより、紐の抜き差しがしやすくなっています。
また、機能美を求め、シンプルな構造になっている手縫いのペンケースなので、いつでも修理が可能です。
1年の保証期間がありますが、1年間を過ぎても修理や部品交換が可能ですのでご安心くださいね。
まとめ
最高級の革と、こだわりの手仕事がつまったロールペンケース。
機能美を追求し、美しい万年筆にぴったりのデザインに仕上がりました。
ちなみにおすすめサイズは軸径14-18㎜くらいまで、長さは15センチくらいまでです。
ぜひ、万年筆とともに経年変化を楽しみながら大切にお使いください。