万年筆に吸入したインクがあっという間になくなった気がしたり、逆に全然減らない!と感じたりすること、みなさんもあるのではないでしょうか。
1本の万年筆で一体どのくらいの量を書くことができるんだろう?と思い調べてみても、こういった実験を行っている方を見つけることができず・・・。
じゃあIl Duomoでやってみよう!ということで実際に試してみることにしました。
今回採った方法は、インクを満タンに吸入した万年筆で原稿用紙に聖書をひたすら書き写していき、どのくらい書いたところでインクが尽きるのか、というもの。
2、30枚分くらいは書けるのでは、と当初は予想していましたが、結果はなんと
400字詰め原稿用紙43枚と5行分、文字数にして15,000字!
この文量を実際に書いてくれたのは、スタッフのなみさん。
カートリッジ式の万年筆は使用経験がありますが、吸入式は今回が初めてだそう。
ただ実験に協力してもらうだけのつもりでお願いしたのですが、書き進めていくうちに精神が研ぎ澄まされていき・・・?
なみさんの奮闘や心境の変化、そして飛び出す数々の名言にも注目です。
もくじ
実験の条件
使用した万年筆は、ペリカン スーベレーンM205 デモンストレーター、ニブは F(細字)。
M200のインク吸入可能量が1.4ccなので、コンバーターより結構入りますね。
軸が透明なので、インクの減り具合を確認しながら進めていくことが出来ます。
↑あっこの写真は気泡が入っている・・・ちゃんと気泡無しで吸入したのでご安心を!
インクはペリカンのブルーブラックを満タンまで吸入しました。
ちなみにこちらは古典インク(没食子インク)なので、万年筆によっては注意が必要です。
金ペンを利用するのがおすすめですが、最近の鉄ペンはサビにくくなっているのでこちらも使えることが多いです。ただ、ペン先に近い装飾部分にダメージを与える可能性もあるので、インクがついてしまったら早めに拭き取るようにしてくださいね。
これらを使って原稿用紙(400字詰め)に聖書を創世記から書き写していきます。
・章と節で内容が区切られており、どのくらの文量を書いたかあとから比較しやすいこと
こうした理由で聖書を書写に選びました。
実際に書いていきます
吸入式の万年筆を使うのが初めてで、最初は緊張気味のなみさん。
無言でひたすら書き写していきます。
5枚目:内容を理解する余裕がでてくる
Il Duomo佐藤
9枚目:全然インクが減っていないような・・・?
16枚目:インクが1/3ほど減りました
原稿用紙16枚目(創世記5章:アダムの系図)まできたたところで確認すると、インクは1/3ほど減っていました。
まだまだ書けそうです。
ということでなみさんの帰宅時間がきてしまったので、持ち帰って自宅でも3時間ほど書き進めてくれました。
ありがとう!
42枚目:タンクは空になった!でもまだインクは出ます。
13章14節(聖書で言うと12ページ)にきたところで原稿用紙は42枚目。
タンクのインクはなくなりました。
ペン芯のところにインクが溜まっているので、まだ書くことが出来ます。
43枚目:ついに書けなくなった!
43枚目に差し掛かると、だんだんインクの色が薄くなり、たまにかすれるように。
ペン芯に若干インクが残っているものの、文字の線が途切れるようになり、普通には書けない状態になったのでここで遂に終了です!
実験結果!
所要時間:約9時間
文量もさることながら、所要時間の長さにも驚きです。
なみさん、本当にお疲れ様でした!
挑戦してみて
Il Duomo佐藤
普通のペンでこんなに書いたら絶対手がだるくなったり、ペンだこができたりしちゃいますよね。
昔からささいなことでクヨクヨしてしまうタイプだというなみさん。
しかし聖書を書き写しているうちに、そんな悩みも「もうどうでもいいや♪」と吹き飛んでしまったそう。
ただ実験のお手伝いをお願いしただけだったのですが、なみさんのこんな変化が見られるとは驚きでした。
条件が変われば、結果も異なります。
・インクはペリカンのブルーブラックを使用
今回はこちらの条件で上記の結果となりましたが、もちろんインクの種類や吸入できる量、ニブのサイズなど、条件が変われば書ける量も変わってきます。
今回の実験の結果から、M200の吸入式であれば40枚ほどは書くことができると言えますね。
ちなみに、ペリカンは数字が大きいほど軸が大きくなります。
400,600などが金トリム。405、など5がつくとシルバートリムです。
まとめ
当初予想していた2,30枚をはるかに上回る結果となりました。
「全然インクが減っていかない気がする」
「この間入れたばっかりなのに、もうなくなりそう!」
なんて思うことはあっても、具体的にどのくらいの量を書いてきたか振り返ることはまずないので、私にとっても興味深い実験でした。
今回、何を書き写そうかなと考えたときに、般若心経は?なんて案もありました。
私が趣味で仏典を集めていて手元にあるんです。ちなみに今回使用した聖書も私物。
画数が多すぎて比較がしづらいということで結局却下となりましたが、スタッフからは「書いてみたい!」という声が。
そちらもそのうち挑戦してみようかな、と考えています。
こういった実験系はおもしろいので今後もやっていきたいですね。
「これ調べてほしい!」なんてリクエストあれば、ぜひお知らせくださいね。