Il Duomo Magazineやその他万年筆に関する読み物などでたびたびでてくる”ぬらぬら”・”サリサリ”という表現。
万年筆で筆記したときの書き心地を表した言葉ですが、実際どういった感覚かイメージできますか?
前者はなめらか、後者は鉛筆で書いた時のような書き心地のことです。
このぬらぬらとサリサリは製造過程で意図的にそうなるように加工されています。
ただ、書き味は万年筆だけで決まるわけではありません。
お手元に「ちょっと書きづらいなー」としまいこんでいる万年筆はありませんか?
今回お伝えする工夫次第で書き味が変貌するかもしれませんよ!
もくじ
ぬらぬら/サリサリってどんな書き心地?
万年筆によって書き心地は様々。
ぬらぬらとサリサリ、みなさんのお好みはどちらでしょう?
ぬらぬらとは
“ぬらぬら”とは一言で言うとなめらかな書き心地のこと。
ペン先と触れている紙の間にインクがたっぷりあることで、ひっかかることなくスムーズに筆記することができます。
インクが潤滑剤になるわけです。
万年筆と言ったらこの書き心地をイメージされる方が多いかもしれませんね。
私も初めて万年筆で書いてみたときは「力を入れてないのにどんどんインクが出てくる!」と感動したものです。
サリサリ
“サリサリ”とは、鉛筆のような書き心地のこと。
ぬらぬらとは逆に、あえてインクの出てくる量が少なめになるよう調整されている
あるいは、ペンポイントの形の影響のため、書く時に抵抗を感じます。
紙のザラザラした感触をペン先が拾いやすくなる…という書き味をサリサリと表現するのです。
ペンポイントがズレていると「ガリガリ」とした引っ掛かりを感じますが、
それとは全く違う、良い金属感を味わえる書き味です。
決してインクフローが悪くて書きづらい、というわけではありません。
鉛筆のような筆記感が良い!とサリサリした書き味の万年筆を選ばれる方も多いんです。
特にアウロラはサリサリ感の王様?として有名。
歯切れの良さと、金属感の絶妙な心地よさ。
独特の書き味はハマる人がたくさんいます。
とよくお問い合わせをいただくのですが
説明がすごく難しいです…!
ひとつ言えるのは良い意味で、ごりっとした金属の質感がある、ということでしょうか。
ごりっとした金属が連続性を持って、「サリサリ」になる…
う~ん、うまい良いかたが無い…。汗
ふわふわな書き味
またちょっと違う表現ですが、ニブの作りが柔らかめで
ペンポイントが滑らかに研いである、かつインクフローが良い…など色々な条件が重なると
「ふわふわ」な書き味を体験することができます。
もちろん字幅にもよりますが、モンブランのマイスターシュテュック149であったり、ペリカンのM1000などがふわふわ感があると思います。
ニブの作りで書き味が変わる
インクの出方で書き心地が変わるわけですが、偶然そうなっているわけではありません。
ペンポイントと切り割りの製作過程で調整されているんですよ。
ペンポイント(ペン先)に使われている金属の研磨具合
どの万年筆もペンポイントを見てみると、少し丸くなっていますよね。
この部分にはイリジウムなどが含まれたとても丈夫な合金が使われています。
ニブ自体が金やスチールでも、紙に直接触れる部分は硬くて劣化しにくい金属が使われているんです。
この金属の研磨具合や形によって書き味は変化します。
切り割り(スリット)の開き具合
もうひとつ書き味に影響を与えるのが、切り割りの開き具合です。
切り割りはインクの通り道。
この部分の開き(幅)が大きければ大きいほど、インクが潤沢に出てきてぬらぬらとした書き味になります。
逆に開きが小さければインクの出てくる量が絞られるため、サリサリとした書き味に。
ちなみにこの切り割り、左右に段差があるとインクがうまく出てきません。
ガリガリと極端に紙にひっかかりを感じてしまいます。
切り割りの開き具合や段差は、調整に出すと
適正値、あるいは自分好みに仕上げてくださいます。
もうすこしぬらぬら/サリサリだったらなぁ、と思う万年筆が手元にある方はぜひペンクリニックなどで調整に出されるといいと思います。
信頼できる調整師さんがいると万年筆生活も安心です。
インクや紙によっても書き心地は変わる!
ニブの作りが書き味に最も影響を与えますが、インクと紙によってもかなり左右されます。
つまり、同じ万年筆でも入れるインクや書く紙によって書いたときの感覚が変わってくるわけです。
インクの違い
一口に万年筆のインクと言ってもその種類は様々。
それぞれ成分が異なるため書き味にも違いがでてきます。
サリサリ寄り:粘度が低い、表面張力が高い
インク選びというと色に気を取られてしまいがち。
しかし、書き心地を重視したいのならこのあたりも購入前に情報収集するのがおすすめです。
手帳や日記などたくさん書くために使うインクであれば特に、できるだけストレスなく使えるものが良いですね。
しかし、気を付けなければならないこととしては
「基本的にはメーカーは純正インクを使ってほしい」ということ。
各種ペン先は、もちろんメーカー純正のインクを使用して開発を進めています。テストはすべて純正インクです。
Il Duomoでも、検品には純正インクを使います。
ですのでメーカー純正インクが、一番パフォーマンスは良いわけです。
メーカー純正インクを使用しなかった場合、パフォーマンスが落ちたりインクぼた落ちがあったりというトラブルに見舞われることも可能性としてはありますので
使用する際はお気を付けくださいね。
紙の違い
つるつるした紙は滑りがよいのでなめらかに、ザラザラとした紙に書くとひっかかりを感じます。
幼いころ新聞の折込チラシの裏に落書き、しませんでした?
白いつるっとしたチラシの裏側は鉛筆がよく滑りますが、カラーのザラザラした紙はそうはいきません。
それと同じですね。
とにかくなめらかに書ける紙を、ということであればヌルリフィルがおすすめ。
ユポ紙と呼ばれる選挙の投票用紙をもとに生まれたこちらは、石油系プラスチック製の合成紙で表面がとにかくつるつる。
通常の紙より抵抗感が少ないため、驚くほどぬらぬらと筆記することができます。
元々サリサリとした書き味の万年筆も、ヌルリフィルにはぬらぬらと書けちゃうんです!
紙が違うとこんなに書き味が変わるのか!と私も初めて書いてみたときは驚きました。
以前開発者のかたにお話を伺ったとき、「このヌルリフィルに書くと、どんなペン先もぬらぬらしちゃいますよ」とおっしゃっていました。
このヌルリフィルばかり使っていると多少カリカリしていても、たちまちぬらぬらしてしまうので、
通常の紙に書いた時に書き味が悪くてびっくり…ということもあるそう。
これ以外の紙ですと、グラフィーロやトモエリバーなんかもぬらぬらと書くことができますよ。
ヌルリフィルとはまた違う、紙らしさの上に成り立つぬらぬらさが気持ちよいです。
トモエリバーFPという紙はもう廃番になってしまうらしいので、いまがチャンスです。
以下、おすすめ商品のリンクを貼っておきます。
まとめと、おすすめブランド
ぬらぬらとサリサリ、どういった書き味かイメージできましたでしょうか。
ぬらぬらとサリサリはどちらが良い、悪いというわけではないので好みや用途に合わせて選べばOK。
私は、ブランド独自の書き味の違いを味わうのが良いと思っているので、どちらがいいとは思いません。どちらの良さも味わいたいです。
とは言え、全部が全部試し書きできるわけでは選ぶのって難しいですよね・・・。
Il Duomoでは万年筆をお買い求めいただいた方へお届けする前にかすれなどがないか、インクを通して検品しています。
(インク通しをご希望でない方は注文時に指定可)
何本か万年筆を使ってみると「これだ!」という書き味にきっと出逢えますよ。
紙やインク、調整でもだいぶ書き心地は変化します。
書き心地がちょっと・・・とすぐにしまいこんでしまった万年筆がある方は、もう一度条件を変えて書いてみるのもいいかもしれませんね。
以下、サリサリ代表とぬらぬら代表のリンクを貼っておきますので
どんなラインナップがあるか、のぞいてみて下さい。
(モデルによって書き味も違うので、気になる方はぜひお問い合わせください。)
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