【モンテグラッパの書き味とは?】エキストラ1930とフェリチタの比較、調整のレポート
こんにちは、Il Duomoの佐藤です。
つくし様よりいただいたレポートをまたご紹介させていただきます。
前回の地中海ブルーのレポートの続きになります。あわせてぜひお読みください!
最後のほうに、調整師さんからのコメントがあります。
調整はどのようになされるのか、というお話から
イタリア万年筆の魅力まで、深い話になりました。
調整をしてみたい、という方はぜひチェックしてみてくださいね!
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今回の記事ではペン先調整オプション (書き味調整) についてのレポートを書きます。
レポートの前半はペン先調整オプション (書き味調整) について、後半はフェリチタとエキストラの比較という構成になっています。
2018年に某百貨店でモンテグラッパのフェリチタ ジェリーボンオーシャンの万年筆 (F) を購入しました。
フェリチタは幸福という意味です。
胴軸の素材はプレシャスレジンを使用しています。
ペン先はスチールで字幅はF。
コンバーター、カートリッジが使える両用式です。
モンテグラッパ フェリチタ エクストラ 比
この万年筆はインクが出なくなったりかすれてしまうので使うことをあきらめて、長期間机の引出しにしまってありました。
Il Duomoさんのホームページを拝見していた所、ペン先調整オプションサービスがあることを知りました。
ペン先調整オプションサービスには「書き味調整」と「字幅の調整」の2つのオプションがありますが、今回は「書き味調整」を選択しました。
※Il Duomo追記:現在はIl Duomoで購入されたペン以外の書き味調整・字幅調整は行っておりませんのでご了承ください。
ペン先調整オプションに送った万年筆の問題点を知りたい場合はLINEでIl Duomoさんに問い合わせると
Il Duomoのスタッフが調整師さんと連絡を取ってくださり、調整師さんが話した内容をLINEに載せてくれます。
フェリチタを調整師さんに見てもらったところ、ペン先に背開きがあり、ペンポイントの高さのずれがあったので、修正していただきました。
僕が描いた背開きの説明図です。
モンテグラッパ フェリチタ エクストラ 比
すぐに削って高さを揃えてインクが出るようにすることも可能でしたが、分解して背開きを直したと調整師さんはコメントしていました。
自分は内側にひねる癖があるので、ペンポイントは左が高くて、右が低くなっていたのだろうと思います。
モンテグラッパ フェリチタ エクストラ 比
(Il Duomo注:ペン先調整においては、インクが出やすいようにするアプローチにいくつかのやりかたがあります。
背開きを戻さずに削り出しをして、面をそろえてインクを出やすくする方法もありますが、
Il Duomo提携の調整師さんは基本的にはあるべき位置に全体を戻してから削り出しをする場合が多いです。
ペン先を分解し、正常な位置に金属を変形させますが、そのまま放っておくとまた形状記憶で戻ってくるので、何日かかけてだんだん近づいていきます。
そのあと削り出しが必要なら研ぐという流れです。
これには金属の戻りを計算しないといけないので、時間と労力がかかります。)
背開き及びペンポイントの高さのズレを修正したイメージです。
モンテグラッパ フェリチタ エクストラ 比
所持しているフェリチタがスキップしてしまう (インクがかすれてしまう) のは背開きでインクのペン先への供給量が下がっていたからなのではと思いました。
モンテグラッパ フェリチタ エクストラ 比
ペン芯のずれがあるとインクフローが悪くなりますが、今回ペン芯のずれはありませんでした。
フェリチタのペン芯の写真です。
長期間インクを入れっぱなしにして放置してあったので、腐食がないか心配でしたが、錆はありませんでした。
ペン先調整オプションを利用する際に万年筆は充分に洗浄してからIl Duomoさんに送りました。
調整師さんは万年筆を分解した際に腐食がないかも確認します。
商品チェックシートには外観検査、ペン先の検査、インクの吸入に問題がないか、試筆結果など佐藤店長が検品した結果が記録されています。
ペン先調整後の万年筆の状態を詳細に記載してくださり、お客様に安心を提供しています。
モンテグラッパ フェリチタ エクストラ 比
ペン先調整オプションサービスでは調整師さんと佐藤店長のダブルチェックを行なった上で、お客様の元へ出荷されます。
優れた技術力でペン先調整を行なった調整師さん及び丁寧に検品した佐藤店長に感謝です。
 
調整を終えたフェリチタでZeitVektorに文字を書きました。
書き味調整をしていただいて、書き心地がなめらかになり、スキップしなくなりました。
モンテグラッパ フェリチタ エクストラ 比

フェリチタとエキストラ1930を比較する

次にフェリチタ ジェリーボンオーシャン (F) とエキストラ1930 地中海ブルー (EF) を比較します。

 

モンテグラッパ フェリチタ エクストラ 比

モンテグラッパ フェリチタ エクストラ 比

フェリチタは両用式ですが、エキストラは吸入式です。
重量はフェリチタが軽くて (約20g)、エキストラは重め (44g) です。
フェリチタは軸が細めで羽根のように軽いので、重い万年筆が苦手な方や軽い万年筆が好きな人にお勧めです。
キャップポストしても重くないです。
小型なので手帳など携帯するのに便利です。
軸の太さや重量は女性向きのペンだと思います。
今回紹介した胴軸の色は青ですが、赤やピンクなどもあります。(Il Duomo注:2021.12月現在廃番)

一方、エキストラは太めの軸で、重量を利用してしっかりした文字を書けます。
エキストラの写真です。

フェリチタとエキストラのペン先を比較します。
フェリチタのペン先には古代ギリシャの雷紋模様であるグリークキー模様が描かれています。
モンテグラッパ フェリチタ エクストラ 比
モンテグラッパ フェリチタ エクストラ 比
ペン先はフェリチタは小さくて(5号くらい?)、エキストラは大きい(8号弱くらい?)です。
切り割り (ペンポイントからハート穴までの溝) はフェリチタは短くて、エキストラは長いです。
切り割りは長いほうがしなりやすいということがありますが、
モンテグラッパの18Kは金属自体が分厚く、硬めなので切り割りが開きやすいということはあまりないようです。
フェリチタのペン芯は急なカーブの形状です。
エキストラのペン芯はなめらかな形状で、複雑な形をしています。
モンテグラッパ フェリチタ エクストラ 比
(Il Duomo追記:ペン芯は内部のインクをいったん溜めておく、万年筆の心臓部と言われる部分です。
この形はメーカーによってさまざまであり、よいインクフローのためにメーカーがしのぎを削っているところでもあります。)
フェリチタ、エキストラに同じインク (モンテグラッパの純正のインク) を入れて、文字を書いて比較します。
フェリチタはサラサラした書き心地で、エキストラは弾力のある書き心地です。
マルマンのルーズリーフでフェリチタ (F) とエキストラ (EF) で書いた文字を比較しています。
モンテグラッパ フェリチタ エクストラ 比
▲マルマンのルーズリーフ
モンテグラッパ フェリチタ エクストラ 比
▲LIFEのSCHOPFER (シェプフェル)
LIFEのSCHOPFER (シェプフェル) にフェリチタ (F) とエキストラ (EF) で書いた文字を比較しています。
写真ではわかりにくいですが、マルマンのルーズリーフよりLIFEのノートの方がフェリチタ (F) とエキストラ (EF)で書いた文字の太さに違いが出ました。
エキストラ (EF) はフェリチタ(F) よりも重量が重いですが、どちらの用紙もフェリチタ (F) の方が線が太くなりました。
フェリチタとエキストラに関しては、万年筆の重量よりもペン先の字幅 (EF、F) の方が文字の太さに影響を及ぼしていました。
フェリチタを使っていて、スチールのペン先およびレジンの胴軸は充分に実用性があると感じます。
エキストラはペン先に18金を使い、胴軸にセルロイドを使用して、首軸・クリップ・天冠にスターリングシルバーを使っていて、美しいデザイン及びなめらかな書き心地に心を惹かれますが、万年筆の入門者向けの価格ではないです。
フェリチタのように低価格でも妥協せずに製品の設計・製造を行ない、その一方でエキストラのように自社の技術力を結集した製品の設計・製造を行ない、お客様が満足する万年筆を提供するモンテグラッパのものづくりに対する熱い情熱に魅力を感じます。
 
フェリチタは2017年8月にIl Duomoの佐藤店長が動画でレビューしています。
そのレビューにはフェリチタに関する具体的な情報が掲載されています。フェリチタは廃盤品なので、新品の万年筆を探して購入するのが難しいです。
Il Duomoさんにはフェリチタのローラーボールの在庫はあるようですが…。
フェリチタのレッドベルベット、シュガーピンクダスト、カラメルゴールドのローラーボールは可愛らしいと思います。
モンテグラッパの現行品の万年筆ならばエルモ、ミアなどがお手頃な価格で初心者向きです。
何本も万年筆を持っていると使わなくなる万年筆も出てきます。
使わなくなった万年筆を取り出して使ってみると新たな発見があるかもしれません。
ペンクリニックに持っていったりして、使わなくなったりインクが出なくてあきらめていた万年筆を復活させてみてはどうでしょうか。

調整師さんからのコメント

Il Duomoでは、ご希望の方に調整オプションという形でペン先調整を受け付けています。
ペン先調整を請け負っていただいている調整師さんから、コメントをいただきましたのでここに追記させていただきました。

今回のフェリチタについて

フェリチタの調整ですが、症状としてペンポイントの左右の高さのズレと切り割部分の背開きがありました。

どちらも書き味にとってガリ付きの原因になるものでしたので、その修正から始めました。

まず首軸からニブとペン芯を外します。ニブの形状修正をするときには、ニブ単体にしなくては上手く行きません。

始めにズレを直し、それと合わせて切り割周辺のニブ形状のチェックとペン芯との密着具合の確認。

 

背開きになっている場合、切り割を入れるときの影響で、変形して発生していることがあるので、

そういった歪み取りの上で切り割部分が、きれいな形になる様にしました。

わかりやすく例えるならニブの部分の入念な整体を行ったようなものです。

 

そのうえでスイートスポットを複数作りこんであります。

 

IL Duomoのお客様の調整に関して気を付けている所、大変なところ。

大変なところ、難しいところは対面での調整ではないという事につきます。

一人一人書き癖や筆記速度も違い、使う紙もインクも違う。

机の高さ、椅子の高さも違うし筆記速度も筆圧も違います。

本来の対面調整なら、それらを踏まえたうえで、パーソナライズするわけです。

そういった観察し、情報を得ることなしに調整するというのは何年間も調整をした経験と

、万年筆から読み取れるメーカーの設計思想(これはメーカーの想定する筆記者の像です)

からどの様な調整が、そのペンにとってあったものなのか導き出さなくてはいけない、という事です。

 

基本的な初期調整にしても、同じメーカーの同じモデル、同じ字幅であれば比較的同じ書き味になる様にしていますが、

それでも個体差は大きくあって影響しています。

イタリア万年筆は比較的製品が安定しているメーカーの物でも結構個体差は大きいので、そこらへんは難しいところです。

 

なので、基本的にスイートスポットを複数作りこみ、

捻りや立てたり寝かせたりといった書き癖に対応できる様にすると同時に

少し渋めのインクでも適切なインクフローになるようにしています。

後は、メッキや特殊コートされていたりするニブも多いので、

出来るだけ調整がペンポイントの範囲で収まる様に気を付けていますね。

真っ黒にコートされているニブに、金色の地金が露出していたりすると目立ちますから。

 

モンテグラッパの魅力

モンテグラッパの魅力としては、他のイタリア万年筆もそうなのですが美しい軸が上げられます。

それぞれのメーカーが各社の個性を持って作っているので全体のシルエットや軸模様と言った部分で、

メーカー名の刻印がなくても判別できそうな処は実に魅力的と言えます。

モンテグラッパは金属パーツの銀細工も良いですが、

軸のボリューム感というか、どういえばいいのか、

デルタが豊満な印象なのに対してモンテはほんの少しぽっちゃり、という感じでしょうか。

どことなく肉感的なラインを持っているペンだと思います。

イタリア万年筆の魅力

イタリア万年筆の魅力を一言でいえば百花繚乱の趣がある個性的なところと言えるかと思います。

個体差を、それぞれの個性と捉えてメーカーごとに、たとえ同じモデルであっても同じものは存在しない、

それは品質の均一性という観点からは良くないことかもしれませんが、

長く付き合う相棒としてみた場合、最大の魅力であるかもしれないと思います。

 

昔、自分が調整師になる前に友人がデルタのドルチェヴィータを購入した時の話です。

何軒もお店を回って、気に入った書き味と字幅の物を探し一番理想に近いものを入手したうえで、調整に出した時のセリフです。

「可愛いイタリア人の彼女が、自分の為に花嫁修業してきてくれるなんて最高じゃないか。」

調整や万年筆との付き合い方の本質の一端が表れている言葉だと思いました。

Il Duomo
コメントありがとうございました!
こんなふうに丁寧にペンの花嫁修業がなされていくんですね。
1本1本ペンごとにカルテは違うと思いますが、調整を検討されている方はぜひ参考になさってください。

モンテグラッパのおすすめペン

さてここまで書いてきましたが、

モンテグラッパのおすすめペンをご紹介します。

 

モンテグラッパ アンビエンテシリーズ

モンテグラッパ エルモ アンビエンテ チャコール 万年筆  Montegrappa Elmo AMBIENTE Charcoal Fountainpen

アップサイクルをテーマにしたペン。
軸にはリサイクル樹脂を利用しています。
シックなブラックは男女ともにおしゃれにファッションをランクアップさせてくれそう。
その他、アップサイクルをしたペンケース ノートなどの付属品たちもどれもかっこいいのでぜひチェックしてみてくださいね。

モンテグラッパ ミア
モンテグラッパイトという特別なマーブル調樹脂を利用しています。
豊かなデザインが魅力。
セルロイド×シルバーでモンテグラッパの真骨頂!
18Kの高級感ある書き味も見どころです。
イタリアらしい唯一無二の柄を楽しめるアジアーゴ。
ゆらぎと色を楽しめます。クリップなども変わっていて良いですね。
Il Duomoでご購入なさった万年筆に関して書き心地を良くしたい、
インクフローが悪くなってきたのでペン先の状態を確認してほしい、
字幅を調整したいなどの要望がありましたら、ぜひペン先調整オプションをご利用してください。
Il Duomoおよび提携の調整師はお客様のペン先調整オプションのご利用を心からお待ちしています。

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はじめまして!Il Duomo(イル・ドゥオモ)店長の佐藤です。

私は、幼少期から絵や文学(短歌とか詩)などが好きで、文具が大好きでした。

 

大人になってからヨーロッパ文具の美しさと独特の味わいに惹かれて、万年筆の通販サイトをはじめました。

主にイタリアのペンを中心に扱っています。

 

私自身、万年筆を使い始めてから手帳に向かい合う時間が増え、いっとき辞めていた詩歌の趣味も、あらためてはじめることができました。

そんなことから、わたしは筆記で人生はもっと豊かになると信じています。

 

万年筆・ボールペンをただ販売するだけでなく、筆記でどんなことが楽しめるのか、どんな風にペンたちを使っていくのか、そんなことも発信していきたい!と思ってこのブログをやっております。

 

 

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