こんにちは、万年筆のネットショップIl Duomoの店長・佐藤です。
デルタのドルチェヴィータDVについて、よくお問い合わせをいただくことがありますので
まとめてたいと思います。
とくあるご質問としては
「2018年以前のデルタとはどう違うの?」
「プレミアとか、ミッドサイズとか、いろいろとモデルが増えているけど、どこが違うの?」
「モデルの違いによる書き味の違いはある?」
「以前のデルタのミッドサイズ、現在のデルタのミッドサイズの違いは?」
「書き味はどう変わった?」
など。
こんなにラインナップが多いのですから、悩みますよね。ぱっと見同じに見えますし。
ひとつひとつご説明していこうと思います。
もくじ
まずデルタについて
デルタ(DELTA)はもともと1982年ナポリ創業のペンブランドです。
美しいレジンと、南イタリアの伝統職人アルチザンによる手仕事感の残るナポリらしいペンづくりをして
世界中で人気を博しました。
1994年にナポリで開催されたG7サミットではデルタの万年筆が調印式に使われ、その名を知らしめました。
特にオレンジと黒のかけあわせがいかにもナポリらしい、名前もジューシーなドルチェヴィータ(甘い生活という意味)シリーズは
日本では小説や映画の影響もあり、人気になりました。
しかし2017年~18年にかけて色々とあって休業。
創業者は複数人いましたが、ひとりはレオナルド・オフィチーナ・イタリアーナを新たに創業。
デルタの中心人物ニノ・マリノ氏はネットゥーノやマイオーラの経営を通して、デルタ再開の機を狙っていたようです。
2022年、満を持して本格的に再始動。ニノ・マリノ氏が代表をつとめるマイオーラの工場の別ブランドラインとして、動いています。
マイオーラとデルタは、似ていますがマイオーラのほうがでっぷりとした軸のほうが多く、デルタは以前のデルタにかなり近いデザインです。
いま出ているDV(ドルチェヴィータ)シリーズの、モデル違いについて
DVプレミア |スチールニブ/14Kニブ選べる
DVオリジナルミディアム(両用式)|スチールニブ/14Kニブ選べる
DVオリジナルミディアム(ピストン)|スチールニブ/14Kニブ選べる
DVオーバーサイズ |18Kニブ
ライトバランス DV |スチールニブ/14Kニブ選べる
一番最初に出たのがプレミア。その後ライトバランスが出て、オリジナルミディアム、最近(2023年末)オーバーサイズが発売されました。
それぞれの違い
プレミアとオリジナルミディアムの違いですが、デザイン全体の違いとなります。
プレミアはキャップ・尻軸が円錐形です。キャップリングデザインも違います。
特にキャップリングはオレンジレジンで贅沢に挟まれており、いまにもプレミア!という感じのたたずまい。
オリジナルミディアムとプレミアを比較すると、オリジナルミディアムサイズのほうが太めで短く、でっぷりとしたデザインとなっています。
プレミアはややすっきりとしたデザインですが、軸が長めです。
ニブはどちらも同じものを使用しています。以前のデルタ ドルチェヴィータ ミディアムオリジナルに近いのはやはりオリジナルミディアム。
ライトバランスは、他にも各種色があるなかでドルチェヴィータカラーのオレンジ色を出してくれた、という文脈なので
他とは比較対象にはならないかもしれませんが、細め軸・すっきりとしたデザインで、ライトバランスという重りのある機構はおもしろいです。
首軸がくびれていて、持つところとしてはやはり一番細いです。
キャップリングが上のほうにあるのも特徴ですね。
オーバーサイズは旧デルタのオーバーサイズを復刻したものと思われ、かなり大きいです。
両用式かつアイドロッパー式となっています。
まだ計測ができていないので、計測次第ここにも書きます。
※ちなみにオリジナルミディアムでも、両用式とピストン式で長さが若干違います。
ピストン式のほうが0.5cmほど長い!プレミアも同じくピストン式のほうが長いです。
簡単にまとめると
円錐形のキャップ・尻軸、特殊なキャップリングなのがDVプレミア。
オリジナルミディアムはでっぷりとしたデザインで、旧デルタのオリジナルミディアムにも近い。
ライトバランスは他にも色があるなかでのドルチェヴィータカラーラインナップ。
オーバーサイズはかなり大きい!
モデルの違いによる書き味の違いはあるのか
結論から申し上げますと、オーバーサイズ以外は同じニブを使用しています。
プレミアも、オリジナルミディアムもライトバランスも、ニブの種類は同じです。
デルタのスチールニブ、14Kニブの書き味
デルタは、Jowoというメーカーを使用しています。
スチールニブの方向性としてはレオナルドと似ていて、硬すぎず柔らかすぎず、万人受けするような、サクサクとした書き味に、インクフロー多めで滑らかに仕上げるというもの。
レオナルドのほうが、若干キレはありますが、その分カリカリすることもあります。
デルタは丸い研ぎ出しで、とめはねはらいは、日本のペンほど綺麗には出ませんが、気持ちよく書けるニブとなっています。
また、フレックスニブもあります。これも出来栄えはレオナルドに似ています。
デルタの14Kニブは、スチールニブよりも柔らかですが、柔らかすぎるということなく、誰にでも使いやすい・扱いやすいニブです。
スチールニブと比較すると、ややキレがあり、とめはねはらいも表現しやすい印象です。
そしてどのメーカーにも言えますが、ほんとうに微細なことになりますが、スチールニブから伝わってくる振動と、金ペンから手に伝わる振動では
総じて金ペンのほうが上質な感じになります。
コスト的に仕上げに時間をかけているということもありますし、
金属自体の特徴でもあるのかなと思います。
ですので、長く(期間もそうですし、一日の使用時間)使いたい方は金ペンのほうがおすすめです。
字幅はどちらも国産の1~1.5段階上と思っていただければと思います。
サンプルをあげておきます。
スチールニブの字幅サンプル
14K
このような感じ。5㎜方眼に書いています。
モデルによる印象の違いはあるか
基本的にはニブが同じであれば、同じような書き味になりますが
軸の重さ、バランス、軸の太さなどにより、書きやすさは変わってきます。
私の主観も入るので、それを引き算して読んでいただきたいのですが、以下のように感じます。
・DVプレミア →ミディアムに比べると細め・長めなのでスチールも14Kもすっきり書ける印象。EF,Fが似合う感じが。
・DVオリジナルミディアム→ 太め・短め(キャップポストしてもそこまで長く感じない)軸なのと、プレミアより重いので自重で書ける感じがある。太軸なのでEFよりはF,Mあたりが似合う。スタブも良い。でもEFでも書きづらいということはない。
・DVオーバーサイズ →#8という大きいニブを使用しているため、細字よりは中字以降のほうが合う。 ※書き味は、未入荷なので要追記!
・ライトバランス→ 細軸・軽いので、サクサク書ける印象。尻軸の重りを活かして、ご自身のバランスを探すのも乙。
以前のデルタのミッドサイズ、現在のデルタのミッドサイズの違いは?
違いを表にしてみました。
旧デルタのミディアムオリジナル(時代によっても多少違います) | 現デルタのオリジナルミディアム | |
機構 | カートリッジ、コンバーター両用式 | カートリッジ、コンバーター両用式/ピストン吸入式 選べる |
全長 | 約13.8cm (収納時) 約16.7cm (キャップポスト時) | ピストン:約14.2cm(収納時)約17.5cm(キャップポスト時)
両用式:約14.2cm(収納時)約17.2cm(キャップポスト時) |
胴軸径 | 約1.6cmφ | 胴軸:約1.5cm⌀ グリップ(最小径):約1.24cm⌀ |
キャップ径 | 約1.8cmφ | キャップリング部:約1.7cm⌀ |
重さ | 約30-34g | ピストン:約37g 胴軸:約26g 両用式:約35g 胴軸:約24g キャップのみ:11g |
クリップ | ローリングウィール式 | ローリングウィール式 |
キャップリング | シルバー925 | シルバー925/バーメイル |
字幅ラインナップ | EF/F/M/B | EF/F/M/B/STUB 1.1mm/STUB 1.5mm/フレックスEF/フレックスF |
ニブのメーカー | Bock(ハート穴) | Jowo(ハート穴丸形) |
天冠 | デルタロゴのプレート | デルタロゴのプレート |
シリアルナンバー | キャップに印字 | キャップに印字 |
こうして違いをみると、まずピストン吸入式と両用式を選べるようになったのは良いですね。
それとトリム(金属)カラーも、シルバーとゴールドと気軽に選べるようになりました。
また、気になるサイズ感については、旧デルタよりも若干、現在のほうが長くなり、軸径は旧デルタのほうが太いです。
ですので旧デルタのほうが寸胴、というふうになります。
ただ、ほんのわずかな違いなので、印象としてはほとんど同じかと思います。
重さも、年代によって違うようですが旧デルタのほうが30-34gと、軸が短い分なのか?軽め。
デザインにおいてはほとんど同じということがわかります。
旧デルタのオーバーサイズとの違い
旧デルタにもオーバーサイズが限定生産品として、存在しておりました。
今回出たオーバーサイズは、その復刻版と思われ、サイズも似たものと思われますが
現時点で未入荷ですので、計測など済み次第、追記します。
書き味はどう変わった?
旧デルタはおおむねBock、現在はJowoを採用しています。(旧デルタの情報があまりないので、もしご存知の方がいらしたらお教えください・・・!)
メーカーの違いだけでは書き味はわかりませんが、ひとまず、ほぼ違うものになったということだけは言えます。
私は今現在、旧デルタのペンを持っていないので、以前書いた時の感触を思い出しながら記しますが
比較すると、現在のJowo製ニブのほうが格段に安定感は増している印象を受けます。
特に書き出しや、インクフローの安定感など、とても良くなりました。
ハート穴が無くなってしまったのは残念ですが…それでも書き味が向上している方が良いでしょう。
上の方にも書きましたが、方向性としては今のところレオナルドと似ていますが、
これからどのように独自性を出していくか、を見ていくのが楽しみです。
総評
旧デルタのドルチェヴィータを選びたいならオリジナルミディアム、独自性を追求したいならプレミア、
でっぷりした迫力を選びたいならオーバーサイズ、スリム感を選ぶならライトバランス…という感じでしょうか。
ナポリの明るさを存分に楽しめるドルチェヴィータシリーズが復活したとあって、
万年筆界に太陽が戻ってきた!という感じがします。
気になっていた方も、そうでない方も、ぜひぜひお手にとって頂きたい逸品です。
美しいペンの写真たち、並べておきます。画像をタップすると商品ページに行けます。
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