こんにちは、万年筆のネットショップIl Duomoの店長の新方です。
「デルタの万年筆」といえば、やっぱりあのオレンジと黒のドルチェヴィータ(現・DV)ですよね。当店へのお問い合わせも、ほとんどがDVです。
でも実は、いまのデルタはDVだけではないのです。むしろこちらのほうが本数は多いくらい。
そして検品を重ねていて、はっきり言えることがあります。デルタは「DV」と「それ以外」で、別のブランドかと思うくらい印象が違うのです!
この記事では、そのDV以外のラインを、当店で実際に検品したときの写真とともにご紹介していきます。DVそのもののモデル違いについては別記事にまとめてありますので、そちらをどうぞ。
▶ DELTAデルタ・DVの各種モデルのサイズ・仕様の違いを説明します
まず、デルタというブランドについて
デルタ(DELTA)は1982年、南イタリアのナポリ生まれ。1994年のナポリG7サミットでは調印式にデルタの万年筆が使われ、一気に名前が知られました。日本では小説や映画の影響もあって、ドルチェヴィータに火が付きましたね。
その後2017年から18年にかけて休業。そして2022年、満を持して本格再始動となりました。現在はニノ・マリノ氏が代表をつとめるマイオーラの工場の、別ブランドラインとして動いています。
付属の保証カードには maiorapen.com の表記が
ちなみにこの「マイオーラの工場から出ている」という関係、付属の保証カードにもちゃんと出ています。カードにマイオーラのURLが刷ってあるんです。こういうところ、正直で良いですね!
このあたりの経緯は、こちらの記事に詳しく書いてあります。
▶ ドルチェビータ万年筆の違いを比較|マイオーラ・レオナルド・デルタ各DV軸の選び方
「DV」と「それ以外」は、別物と言い切れるくらい違います
さあ、ここがこの記事でいちばんお伝えしたいところです。
DVは、とにかくぶれません。 クラシックで、王道で、安定している。長く定番を使いたいという方には、どれを選んでも大きく外れないシリーズです。
ところがDV以外は、一本ずつ表情が違うのです。 鉛筆のような手応えのものもあれば、さっぱり・あっさりした軽快なものもある。同じデルタの、しかも同じシリーズの中でもです!
もちろんペンには個体差がありますから、ひとくくりにはできません。それでも、DVとそれ以外は違うと言い切れるくらいには違うのです。
同じ「EF」なのに、逆の結果が出たことがあります
う~む、と唸ってしまった実例をお出しします。2026年8月に検品した個体の記録です。
検品した個体
字幅表記
実際に書いた印象
インテーザ
EF
少し固め。「鉛筆みたいな書き心地」。EFなのに、そこまでの細さは感じられず
スパッカナポリ
EF
線が薄い。極薄。日本製のEFより細いのでは?と思うほど
サイン・オブ・タイム ネオクラシック
–
こちらも線が薄め。カリカリした感触はなし
同じブランドの、同じEF表記で、太め寄りと極薄が並んでしまいました…!
ただし、これはあくまで今回検品した数本の話 であって、シリーズ全体の性質として断定できるものではありません。たまたまこうなった可能性も十分にあります。そこは正直にお伝えしておきますね。
また、輸入万年筆は日本製より線が1段階ほど太く出る場合がある、というのが一般的な説明です。今回はそれとは逆の個体もあった、ということになります。どちらが正しいという話ではなく、それだけ幅があるのだ とお考えいただくのが良いかなと思います。
それでも、目安をお伝えするなら
当店でお客様にご案内するときの、ざっくりした目安はこうなります。
– DVは比較的太めに出る
– DV以外は、日本製に近く細めに出る可能性が高い
細さを重視される方は、ぜひDV以外のラインも候補に入れてみてください。逆に、しっかりした線がお好みならDVが素直です。字幅でお悩みでしたら、遠慮なくお問い合わせくださいね。
DV以外の現行ライン
インテーザ(Intesa)
高品質なイタリア製レジンのマーブル軸を、職人さんが一本ずつ削り出したシリーズです。エメラルドグリーン、ダークブルー、ペトロールブルー、ライトブルー、レッド、イエロー、ホワイト。とにかく色が豊富で、どれにしようかな~と悩むのも楽しいところ♪
インテーザ エメラルドグリーン。シルバートリムとの組み合わせ
ペン先はドイツJowo製のスチールニブ。筆圧で線の太さに変化を出せるフレックス仕様もあります。
Jowo製のスチールニブ
検品したエメラルドグリーンのEFは、少し固め。「鉛筆みたいな書き心地」というのが、いちばんしっくりくる表現でした。EF表記なのですが、そこまでの細さは感じません。
こちらはダークブルー。同じインテーザでも、ずいぶん印象が変わります
ご購入前にひとつだけ! インテーザにはコンバーターが付属しません。ボトルインクをお使いになるご予定でしたら、別売のデルタコンバーターをあわせてご用意くださいね。もちろん、まずはカートリッジで始めていただいても大丈夫です。
▶ デルタ インテーザ エメラルドグリーン 万年筆
スパッカナポリ(Spaccanapoli)
スパッカナポリとは、ナポリの旧市街をまっすぐ貫いている有名な通りのこと。直訳すると「ナポリを割る」です。なんとも豪快な名前ですね!
このシリーズは、その一帯に建つパラッツォ(宮殿・邸館)の名前 が一本ずつに付けられています。ルッフォ、フィロマリーノ、セッラ カッサーノ、ドリア ダングリ、アルチヴェスコヴィレ、ダンジョの6色展開。名前を眺めているだけでも、ちょっとナポリを歩いている気分になります。
パラッツォ ルッフォ。赤と白が流れるように混ざります
検品したパラッツォ ルッフォのEFは、線が薄い。極薄と言っていいくらいでした。日本製のEFより細いのでは?と思ったほどです。
それでいてカリカリした嫌な感触はなく、日本語を普段使いで書くのには向いているのではないかなと思いました。
ペン先はJowo製のスチールニブ、インクはカートリッジ・コンバーター両用式です。
▶ デルタ スパッカナポリ パラッツォ ルッフォ 万年筆
サイン・オブ・タイム ART EDITION(Signs of Time)
このシリーズ、名前を並べてみると「おお!」となります。
ケイブペインティング(洞窟壁画)、クラシカル・アート(古典)、メディエヴァル・アート(中世)、ルネサンス・アート、バロック、ロココ、ネオクラシック(新古典主義)、ロマンス(ロマン主義)。
そう、美術史を時代の順にたどっていくシリーズ なのです!洞窟の壁画から始まって、ちゃんと時代が進んでいく。こういう仕掛け、イタリアのブランドは本当に上手ですね。
化粧箱にも、その時代の絵画を思わせる図像が
検品したのは「ネオクラシック」。新古典主義は18世紀後半のヨーロッパで興った芸術運動で、古代ギリシャ・ローマの美学を理想とし、理性・秩序・均整を重んじた時代です。化粧箱の図像も、いかにもその時代らしい構図。細かいところまで作り込まれています。
サイン・オブ・タイム ネオクラシック。オレンジから赤に、黄色い流れが入ります
ゴールドトリムに合わせた金色のペン先
ペン先はJowo製のスチールニブで、フレックス仕様もあります。検品した個体は、こちらも線が薄め。スパッカナポリと同じ日に検品したのですが、たまたま二本とも細い個体だったのかもしれません。
▶ デルタ サイン・オブ・タイム ネオクラシック 万年筆
▶ デルタ サインオブタイム ケイブペインティング 万年筆
フィレンツェ(Firenze Stilografica)― 世界50本
さて、ここからは少し特別な一本です。
フィレンツェの象徴である百合(ジッリョ)の紋章 が、軸に、天冠に、そしてペン先にまで あしらわれています。ここまでやるか!というのが、実物を見たときの正直な感想でした。
フィレンツェの街並みが刷られた専用の冊子が付きます
ペン先にも百合の紋章。細かいですね
赤地に白の百合が並ぶ軸
軸はレジンにシルバー925 のキャップリングを組み合わせ、14Kニブとスチールニブを合わせて世界50本 という限定生産品。付属の冊子には、フィレンツェの万年筆店のためのコレクションであることが記されていました。
こんな本数のものが、なぜ日本の当店に並んでいるのか。イタリアの取引先が、希少なものも回してくれるからなのです。デルタ、レオナルド、ヴィスコンティあたりとは付き合いが長く、家族ぐるみでお付き合いさせていただいている先もあります。
こういう関係があって初めて手に入るペンというのは、確かにあるのですね。ありがたい話です。
▶ デルタ 限定生産品 フィレンツェ 万年筆(ゴールドトリム/スチールニブ)
少数民族シリーズ(Indigenous People)
世界各地の少数民族に着想を得た限定シリーズです。これまでにセンチネル族、シンブ、そしてバジャウが出ています。
バジャウ。海の民の名にふさわしい配色です
このバジャウが、今回ご紹介する中でも作りが明らかに別格 なのです。
ペン先は#8サイズの14Kゴールド に、バジャウ専用のエボナイト製ペン芯。インクはピストン吸入式 。軸はレジンにスターリングシルバー(ヴェルメイユ)を組み合わせ、世界388本の限定生産品となっています。
そして書いたときの手応えが、これがまた他とはっきり違いまして…。ここは一本だけで別記事にしましたので、ぜひご覧ください。
▶ デルタ 少数民族シリーズ バジャウ(14K)検品レビュー|「書いてかっこいいと思ったのは初めて」
結局、どれを選べばよいのか
ここまでをざっくりまとめますね。
– クラシックで王道の一本を、長く使いたい → DV(ドルチェヴィータ)
– 色で選びたい、細めの線が好み → インテーザ、スパッカナポリ
– テーマや物語のある一本がほしい → サイン・オブ・タイム、少数民族シリーズ
– 限定品を狙いたい → フィレンツェ、バジャウ
– 書いている時間そのものを味わいたい → バジャウ
くり返しになりますが、DV以外は一本ずつ表情が違います。ここに書いたのは、あくまで当店で検品した個体の記録です。
気になるモデルがありましたら、実際にどうだったかをお答えできますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。みなさんがお好みの一本をお迎えできると良いなと思います。
▶ デルタ 取扱一覧
▶ Il Duomo 万年筆 取扱一覧
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