イタリアの万年筆モンテグラッパの特徴&書き味は?おすすめペンも【万年筆屋のリアルな話】

ヴェネト州生まれのジュエリーのような万年筆ブランド

イル・ドゥオモ店長
こんにちは!輸入ヨーロッパ文具を取り扱うIl Duomoの店長・佐藤です。
ヨーロッパ文具(おもに万年筆)の美しさを布教するためにこの記事を書いてます♩

イタリア万年筆には、アウロラビスコンティレオナルド、などなどいろいろありますが、そのなかでもレベルも高くおすすめのモンテグラッパを今回はシェアしていきます。

 

まず、モンテグラッパというブランドをご存知でしょうか。

イタリアの老舗の万年筆メーカーで、万年筆のロールスロイスとか、万年筆のフェラーリなどという人もいるくらいの高級ブランドです。

ここでは、そんなモンテグラッパについて、万年筆屋の視点から

  • モンテグラッパの特徴
  • モンテグラッパの書き味
  • モンテグラッパのおすすめペン

に分けてご紹介したいと思います!

ちなみにイル・ドゥオモではイタリア万年筆を多く取り扱っております。
検品をとにかく丁寧に、をモットーにしてネットショップで通販をしております。
よかったらカタログ気分で見てみてください。

モンテグラッパの歴史は100年以上

モンテグラッパは1912年にイタリアのベネト州バッサーノ・デル・グラッパで「ゴールドのペン先と筆記具製造所」として創設されました。

イタリアで初めて万年筆を製造したメーカーとして知られています。

 

バッサーノ・デル・グラッパはベネツィアのすぐ近くの小さな町で、アルピーニ橋(別名ヴェッキオ橋)という屋根付きの橋が有名です。

バッサーノとはイタリア語で「下」を意味し、グラッパ山(モンテグラッパ)という山の下にある街なのでバッサーノ・デル・グラッパというのです。

お酒のグラッパは、この山にちなんで名づけられています。

モンテグラッパの由来はこのグラッパ山だったんですね!

 

もともと、ベネト州は伝統工芸が盛んな地域で、特に銀の工芸品には定評がありました。

モンテグラッパの筆記具にも、これらの熟練のクラフツマンの技術が活かされています。

 

1920年代にはセルロイドを使う数少ない筆記具製作所となり、1930年代には近年モンテグラッパの象徴ともなった八角軸のペンの製造を開始しています。

その後、1978年に社名を現在の「モンテグラッパ」に変更して、現在に至ります。

モンテグラッパの特徴…しっとりとした手触りのセルロイド軸

モンテグラッパの特徴としては、鮮やかな色と、しっとりとした手触りのセルロイド軸があげられています。

このセルロイド軸は、光の当たり方や角度によって様々な模様に変化して見え、見る者を魅了します。

また、モンテグラッパの金のペン先の万年筆は、創業時からペン芯にはエボナイトを使っており、
これによってインクが馴染みやすく、快適な書き心地をもたらしています。

このセルロイド、イタリアのセルロイドメーカーMazzucchelli(マッツケッリ)社に特注しているとのこと。ちなみにヨーロッパ唯一のセルロイドメーカーがMazzucchelli社。それほどにセルロイドは貴重なものなんですね。

モンテグラッパ用のセルロイドを作るには、1年寝かすこともあるそうです。

この動画で、モンテグラッパのセルロイドを作る過程がご覧いただけます↓(英語です)

イタリア人は美のためならコストや時間を考えないというか(^^)
日本の製品と全く違うものが生まれる理由は、そんなところにありそうです。

筆記具の宝石の名にふさわしい美しさ

モンテグラッパ エクストラ1930

モンテグラッパの万年筆を言い表す表現としては、とにかく「色気・セクシー・美しい」ということが言われます。

↑はエキストラ1930というモデルですが、この曲線!でっぷりとした形!目立つキャップリング!クリップのデザイン!どれをとっても色気があります♡

私もみるたびにため息が出ます。

まさに、イタリアならではの洗練されたスタイリッシュなデザインと高級感を兼ね備えた万年筆であり、「ライティング・ジュエル(筆記具の宝石)」と称されています。

そんな万年筆だけに、著名人にもモンテグラッパの愛用者は多く、ヘミングウェイ、シルベスタ・スタローン、アイルトン・セナ、ジョルジュ・アルマーニ、ポール・スミスなどが、愛用したことで知られています。

 

また、モンテグラッパの高級感をもたらしている理由の一つとして、そのほとんどのモデルで、外装の金属部分にはスターリングシルバーが使われていることが挙げられています。

 

これは、もともと創業の地であるベネト州が、銀細工が盛んな地域だったことから、それらの技術を活用したものです。

更に、男女を問わず使いやすいラインナップも、誰もが一度は持ってみたいと思わせる要因となっているように思われます。

実際の作りは丈夫?

ここがみなさん気になるところではないでしょうか。

 

わたしはIl Duomoを開いてから、もう4年以上モンテグラッパのペンを検品してきましたが、

結論としてモンテグラッパのペンは「とっても丈夫」です。作りはとてもしっかりしています。

 

コンバーター部分もネジ式ですし、キャップのしまりも非常にぴったりしていて、レベルの高い作りです。
ラグジュアリーなペン、というだけではありません。高度な工業品といえます。

 

安心できるブランドだと思います!信じてください。(笑)

モンテグラッパの書き味は?

結論から言うと、

モンテグラッパ鉄ペン⇒サリサリしている、独特の書き味。

モンテグラッパの金ペン⇒フロー潤沢な滑らかな書き味。

となります。

こちらが検品動画です↓↓

6分すぎあたりからインクをつけて書いていますのでご覧ください!

モンテグラッパには鉄ペンと、14K、18Kのラインナップがあります。

仕上がり的にはやはり金ペンのほうが良くできていますが、
鉄ペンも国産万年筆の通常ニブと比べるとかなり大きめでがっしりしているので頼りがいのある書き心地です。

ただ、鉄ペンの場合、滑らかさの個体差が若干あります。
鉄ペンを購入される際には万年筆調整も付けていただいたほうが、より滑らかな書き味になるのでお勧めです。

 

モンテグラッパのおすすめの万年筆は?

 

モンテグラッパは非常に多くのシリーズを発売しています。

 

 

(1)リミテッド・エディション

モンテグラッパの万年筆の中でも、リミテッド・エディションは特に美しいと評判です。クラフトマンがハンドメイドで作り込んだ装飾は、細部にまでこだわりを感じることができ、ハンドメイドの精巧さを実感できる万年筆です。

ただ、それだけに、価格が非常に高価で、残念ながら、簡単に手が出せるものではありません。

ただ、逆にそれだからこそ万年筆業界を代表する美しいアイテムであり、「いつかは」手に入れたい一本といえるでしょう。

モンテグラッパのセルロイド軸。

モンテグラッパ エクストラ1930 地中海ブルー

モンテグラッパ 地中海ブルー エキストラ1930

モンテグラッパ エクストラ1930 地中海ブルー

この地中海ブルーのセルロイドは群を抜いて綺麗なんです。波の模様のような揺らぎが、光に照らすと表情を変えます。
色が何層にも重なっていて、この色合いはセルロイドでしか表現できないものでしょう。

ニブも他のものと違い、キャップリングと合わせてメアンダー文様になっています。

エキストラオットー ラピス
モンテグラッパ 限定生産品 エクストラオットーラピス 万年筆

オットーとは、イタリア語で8。つまり8角形に面取りされた軸なんです。

モンテグラッパ スピリット・ディ・ステラ 万年筆

 

 

モンテグラッパ スピリット・ディ・ステラ 万年筆

モンテグラッパ スピリット・ディ・ステラ 万年筆

この「モンテグラッパ スピリット・ディ・ステラ 万年筆 」は国際的な活動・「Wheel On Waves(ウィール・オン・ウェイブス)」へモンテグラッパが賛同し、その売り上げの一部を寄付するために作った限定の万年筆です。

青い海をイメージしたネイビーブルーのキャップと尻軸に、船体をモチーフにした木のストライプ。そしてコンパスの形のクリップが唯一無二のデザインとなっています。

 

スピリット・ディ・ステラ。直訳すると「星の精神」というコンセプトのこの万年筆。 太古の昔、航海は星をたよりに行われてきました。星から一を確認し、目指す場所へと向かう船。その情景は現代の多様性のある時代の中で、状況や生まれ持ったものは違っても、同じ方向へ向かっていこうという「Wheel On Waves(ウィール・オン・ウェイブス)」の試みと一致します。船や海を愛する方、そして人間を愛する方に持ってほしい1本です。

限定生産品 モンテグラッパ ペン・オブ・ピース 万年筆

ペン・オブ・ピース モンテグラッパ

 

限定生産品 モンテグラッパ ペン・オブ・ピース 万年筆

 

ペンは剣より強しー’The pen is mightier than the sword’

このペン・オブ・ピースのアイデアは、モンテグラッパが主催するディナーの際に生まれました。ある夜、各国に散らばっているモンテグラッパの代表者が同じ食卓を囲みました。イスラエル、レバノン、イラン、インド、アラブ首長国連邦、など…。いたるところで戦争やテロが起こる、私たちの乱暴な世界の中で、平和に特化したペンを立ち上げるという考えがそのディナーの時に生まれたのです。多様な肌の色を持つ代表者たちが一堂に会し、平和のペンについて考えるーそのためにピースマークはシンボルとして選ばれました。ペンは剣より強しー’The pen is mightier than the sword’がコンセプトとなりました。色々な言語での「平和」が軸に記されています。

 

(2)ドゥカーレシリーズ

ドゥカーレシリーズは基本的にスチールニブです。
モンテグラッパのペンはスチールニブだけれども、高級なラインが結構多いのです。
というのは、日本では「金が柔らかいし、書き味いいよね」という評判が多いのですが、金であってもスチールであっても、ニブの形や研ぎ方で書き味は大きく変わるので、実はスチールであるから書き味が劣るとは限らないのです。

もちろんヨーロッパでも金ペンは高級ラインナップに使われますし、金ニブのほうがいいものだよねという認識はあります。でも、「3万円台でスチールだから、嫌だ」ということはあまり起こらないように思います。

軸が美しければ、スチールニブでもペン自体の価値はある、ということです。

ドゥカーレシリーズは天冠に特徴があります。ドゥカーレというのはイタリア語で公爵という意味です。
公爵のかぶる冠のようであり、ヴェネツィアにあるドゥカーレ宮殿の建築様式のようでもあるこの天冠デザイン。

キャップが重めなので尻軸にポストはできませんが、
大振りなデザインが珍しく、とても可愛い&高級感アリです…!

この美しさはモンテグラッパにしか出せないでしょう!!

 

(3)フォーチュナシリーズ

フォーチュナシリーズもスチールニブが多いです。フォーチュナとはイタリア語で「幸運」(fortune)を意味します。丸っこい形が幸運を運んでくれそうなペンなのです。

クリップと、キャップの丸みに注目です。

 

モンテグラッパ フォーチュナ モザイク 万年筆

フォーチュナシリーズでも特に美しいのが、モザイクシリーズ!

カラフル・ポップなレジンとぽってりしたフォーチュナシリーズの軸があいまって
とっても可愛い!女性・男性どちらにも人気です!

モンテグラッパ モザイク

モンテグラッパ フォーチュナ モザイク オーロラボレアリス 万年筆

 

エルモシリーズ

モンテグラッパ エルモ01 ファンタジーブルーム ゲンチアナブルークロス 万年筆

モンテグラッパ エルモ01 ファンタジーブルーム ゲンチアナブルークロス 万年筆

モンテグラッパ エルモ01 ファンタジーブルーム ゲンチアナブルークロス 万年筆

エルモは、モンテグラッパのなかではエントリーモデルといえます。バランスもよく、キャップをポストしても使いやすいです。
このファンタジーブルームシリーズは花をイメージしてつくられています。とても華やか!

 

まとめ

 

いかがでしたでしょうか。
モンテグラッパの真骨頂はセルロイド軸とスターリングシルバーなので、ぜひそれを体感していただきたいのが本当のところではありますが、いかんせん高価です。

ドゥカーレやフォーチュナも、さすがイタリア万年筆(略してイタ万)といった、非常にセクシーで美しい軸がたくさんありますので、ぜひ、ぜひ!手に取ってその美しさをリアルに見ていただければと思います。

 

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店長
はじめまして!Il Duomo(イル・ドゥオモ)店長の佐藤です。

私は、幼少期から絵や文学(短歌とか詩)などが好きで、文具が大好きでした。

 

大人になってからヨーロッパ文具の美しさと独特の味わいに惹かれて、万年筆の通販サイトをはじめました。

主にイタリアのペンを中心に扱っています。

 

私自身、万年筆を使い始めてから手帳に向かい合う時間が増え、いっとき辞めていた詩歌の趣味も、あらためてはじめることができました。

そんなことから、わたしは筆記で人生はもっと豊かになると信じています。

 

万年筆・ボールペンをただ販売するだけでなく、筆記でどんなことが楽しめるのか、どんな風にペンたちを使っていくのか、そんなことも発信していきたい!と思ってこのブログをやっております。

 

 

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