スティピュラ(Stipula)万年筆の特徴とおすすめモデル。書き味は?

今回はイタリアの万年筆メーカー、スティピュラのご紹介!

ちいさなメーカーで、日本の代理店も撤退してしまったため
「廃業したんですか?」なんて聞かれることもあるのですが、ご安心ください。
今も新作を発表し続けていますよ。

スティピュラは手作業も多くイタリアの職人文化を引き継いだメーカーと言えます。


イタリア万年筆らしい目を引く個性的なデザイン、ジュエリーのような美しさも魅力的。
書き味は癖もありますので、こちらの記事をよくお読みの上ご検討ください。

すでに何本か万年筆を持っていて、「ちょっと変わったペンが欲しいな」なんて思っている方にはチェックしていただきたいメーカーのひとつです。

スティピュラ(Stipula)の歴史は?

スティピュラ stipula

スティピュラは1973年、筆記具好きの資産家がフィレンツェ郊外にて創業しました。
とはいっても本格的に万年筆を生産するようになったのは1991年頃から。
筆記具メーカーとしての歴史はそう長くありません。

 

スティピュラはラテン語で、英語ではsmall piece of straw。
つまり一片の藁(わら)を意味します。

 

古代ローマ時代、戦争でいがみ合っていた両者が喧嘩両成敗の意味をこめて1本の藁を2つに裂いてペン代わりにし、終戦の署名を行いました。
スティピュラは大切な場面で使用される筆記具を作っている誇りがあるのです。

スティピュラは廃業していません!こだわりの万年筆を少量生産

スティピュラ Stipula ダ・ビンチ

「廃業しているのでは?」なんて噂が立つのはおそらく、控えめな生産体制が理由のひとつでしょう。
いわゆる家内工業のような雰囲気を残しているスティピュラ。

会社を大きくしていきたい!というよりは、できる範囲で作りたい万年筆をほそぼそと、といった感じのメーカーです。
小さな工房で作っていて、従業員もさほど多くありません。

 


25本、50本といった単位でしか生産していないものもあり、そのため代理店からは敬遠されてしまった経緯もあるのでは?

卸先と準備を進めている間に欠品となってしまったり、パーツ不足でアフターフォローが満足にできなかったりといった可能性があるからです。

 

こういった事情で、百貨店などの大きな店舗では購入することができません。
お探しの方は、当店のようにスティピュラから直接仕入れている販売店からご購入いただく方法が一般的です。

古き良きイタリアン万年筆を作り続けるステピュラ

スティピュラ アダージョ 画像 stipula adagio

スティピュラ アダージョ ピザンサンセット(アンバー) 万年筆 Stipula Adagio Pisan Sunset Fountain Pen

 

ビスコンティ、モンテグラッパ、スクリーボなどのイタリア万年筆メーカーは昨今、モダンな雰囲気に寄っていくモデルが増えてきています。
世界に向けて売り出すためには今までのイタリアンクラシカルではなくグローバルスタンダードなものを、という傾向ですね。

そういった他社の動きをよそに、我道を行くスティピュラ。
昔ながらのデザインを伝統的な方法で生産し続けています。

昔ながらの工房と機械

スティピュラ stipula 工房

以前、実際にスティピュラの工房を訪れたことがあります。
ジブリ映画の「耳をすませば」にでてくるバイオリン工房のような、趣がある場所でした。
機械も古いものを大切に使い続けているようで、「これで作っているのか・・・!」と衝撃を受けました。

ちなみに、ニブの生産から検品までもこの工房で行っています。
大量生産品のようにどこかに委託することなく、ニブも同じ場所で作られているというのは珍しいですね。

スティピュラ 工房 stipula

工房には歴史あるいろいろなクリップが展示されていました。
クリップの美しさも、イタリア万年筆の素晴らしいところです。

個性的なデザイン

stipula スティピュラ 工房

スティピュラには他のメーカーで見たことがないような、個性的なデザインの万年筆が。
美しくイタリアンクラシカルな雰囲気漂うペンが多くみられます。

 

軸が半分透明、なんてものも!
様々な外観の万年筆を集めていらっしゃる方からしたら「これは!」と感じるペンが見つかるかもしれませんね。

 

スティピュラではエボナイトという最近ではあまり採用されなくなった素材を使用している万年筆も数多く扱っています。
その他、軸にセルロイドと純銀(スターリングシルバー)を採用しているペンも多め。
こちらの素材の組み合わせはメーカー問わず、イタリア万年筆全体で多く見られます。

注目度上昇中!チタン製のニブ

スティピュラ アダージョ stipula adagio

スティピュラ アダージョシリーズ

 

最近スティピュラで知名度が上がってきているのは、チタン製のフレックスニブ
他社ではスチールや金のニブを採用している場合が多いので、あまり馴染みがないかもしれません。
チタンを使用しているメーカーは珍しいため、注目を浴びています。

 

鉄の半分の重さにも関わらず、強度はチタンのほうが上。
酸化しづらいのも大きなメリットです。
実際に書いてみるとし金ペンほどしなりはなく、頑丈な印象を受けます。

やわらかい書き味。チタンとスチールニブは硬め

万年筆 Stipula Etruria Magnifica Miele Selvatico Fountain Penスティピュラ エトルリア ミエレセルバーティコ ゴールド 

スティピュラ エトルリア マグニフィカ ミエレセルバーティコ ゴールドトリム 万年筆 Stipula Etruria Magnifica Miele Selvatico Fountain Pen

基本的にフレックス、つまりやわらかい書き味のニブが多いスティピュラ。
14Kの金ペンはどちらもセミフレックスで、ふわふわっとした書き心地です。
(金ペンのほうがスチールニブやチタンニブよりもフローがドバドバしている印象です)

 

・・・なんですが。
チタンとスチールニブに関しては、かなりのガチニブです。

 

チタンフレックスは、形はフレックスの形なのですが
チタンの材質上そこまでフレックスしませんのでご注意を。

 

良いところもたくさんあるスティピュラの万年筆。
購入前に押さえておいていただきたいポイントをお話します。

個体差がある

万年筆 Stipula Etruria Magnifica Miele Selvatico Fountain Pen スティピュラ ミエレセルバーティコ ゴールド

スティピュラは、ニブを独自に生産しています。
しかし手作業の多い昔ながらの生産方法で、
個体差が出やすいです。


国産の万年筆に比べてスリットが詰まり気味なものが多いです。
スリットというのはペン先の割れている部分のことで、この部分が開いているとインクフローが良くなります。
インクフローが良いものでも、どばどばと出てくるようなものはないですね。

 

また、スイートスポットが狭いため
個人差がありますが角度によっては書きづらさを感じる方もいらっしゃるかもしれません。
スイートスポットとは、するするとインクが出てきてキレイに書くことができるポイントのこと。

 

ペン先に丸いイリジウムという金属がついていて、この形によって書き味はかわってきます。
イリジウムがなめらかにあたる紙に当たる部分が国産と比べると狭い印象があります。

 

調整がおすすめ!Il Duomoでも出荷前に検品・調整(追加オプション)は行います

上記の理由から、特に初心者さんや筆記角度に特徴がある方は調整に出すことをおすすめします。
さきほど言ったスイートスポットを広げるようなイメージです。
近隣にペンクリニックがあれば、そちらへ持ち込んでご自身の書きぶりをみていただきながら調整してもらうと安心ですね。

 

Il Duomoでご購入いただいた場合は出荷前にじっくりと検品し、なにか問題があった場合はお客様にご相談しています。

 

ご希望に沿って交換や調整を加えたのち、発送。
お手元に届いた時点でさらさらと書いていただける、そんなペンをお届けできるよう努めています。

 

(もともとスイートスポットが狭めなので、基準が国産と違うことはご了承ください。)

 

▶ 輸入は不安?だからこそ、検品をより強化したい



ちなみに、同じくIl Duomoでお買い上げいただいた方限定ですが提携調整師による初期調整もオプションで対応可能です。

 

▶ ペン先調整オプション(有料)

細かい文字をきっちり書くのにはむかない

イタリア万年筆全体にも言えることですが、漢字のように細かい文字を書くことを想定して作られていません。
カリグラフィーは別ですが、留めはねはらいを気にしながら一画一画を書く、といったことではあちらではないですよね。
ローマ字ではなんとなく全体の形がわかれば良いので、留めはねはらいのニュアンスなどは苦手なのです。

 

用途が日記や手紙など、きちっと書くのに使いたい方は他のメーカーの細めのニブを選んだほうがストレスなく筆記ができるでしょう。

 

スティピュラで購入するのであれば、EFよりはMの字幅が○。
これくらいであれば、個体差なども楽しみながら書くことができるのかな?と思います。

 

また、初めて万年筆を買うんですーという方にはおすすめしません。
筆記角度がまだ万年筆向きになっていないのにスティピュラのペンで書くと、書きにくいことがあります。
原稿用紙や大きめのノートにさらさら~っとメモ書きする用に持つにはおすすめのメーカ-です。

 

モデル どんなシリーズがあるか?

アダージョ

スティピュラ アダージョ stipula adagio

スティピュラ アダージョシリーズ

2020年、新たに発売されたのがこのアダージョ。
フィレンツェ郊外の景色を美しいレジンで表現したシリーズです。
こちらの軸に使用されているレジンは今までのものと全く異なります。
弾力性があり、まるでシリコンのような触り心地です。

 

キャップの雰囲気もこれまでのスティピュラのペンとは違っていますね。
クリップは横から見ると立体的なカーブを描いていて、しなやかな雰囲気が感じられます。

 

ニブはスチールとチタンから選択可能です。

 

エトルリアマグニフィカ

エトルリアのシリーズは以前からありましたが、マグニフィカは今回が初めての発売です。
マグニフィカは『壮大』という意味。
その名の通り、太くて長い軸が特徴的で迫力のあるモデルです。

 

イタリアンレジンらしく、べっ甲のような美しい外観も魅力的。
Il Duomoではべっ甲カラー以外も取り扱っています。

 

万年筆 Stipula Etruria Magnifica Miele Selvatico Fountain Penスティピュラ エトルリア ミエレセルバーティコ ゴールド 

スティピュラ エトルリア マグニフィカ ミエレセルバーティコ ゴールドトリム 万年筆 Stipula Etruria Magnifica Miele Selvatico Fountain Pen


クリップやキャップにはスティピュラのロゴマークである葉っぱの模様が施されています。
こちらもニブの素材を選ぶことができますよ。

 

モデルT

スティピュラ Stipula モデルT

モデルTも有名なシリーズのひとつです。

 

キャップの先端部分と尻軸がとがっていますね。
こういった形状の万年筆は葉巻型と呼ばれています。
葉巻愛好家の方の中で、この形の万年筆を好んで選ぶ方もいらっしゃるそうです。

 

キャップリングに葉っぱのマークがひとつ。
クリップもほかのシリーズとは違い、立体的です。
先の部分には宝石が一粒ついています。

 

パールやアゲートなど、カラーによって石も異なります。
石が好きなわたしは歓喜!なモデル。

イタリアらしい曲線美のあるモデルです。

 

ガリカーナ

スティピュラ ガリカーナ 

スティピュラ エトルリア ガリカーナ ノッテ・ディ・サンロレンツォ 万年筆 Stipula Etruria Gallicana Notte di San Lorenzo Fountain Pen

ガリカーナは、かつてローマ帝国から分離・独立した「ガリア帝国」(主に現在のフランスに位置)に由来し、
ペンのデザインもキャップリングをシンプルなパラジウムであしらうなど、フランス的なスムーズなラインが特徴的です。

 

マグニフィカより小ぶりなので、手が大きくない方はこちらのモデルのほうが手に馴染むかもしれません。

 

スティピュラらしい曲線とイタリア万年筆の美しいレジンが楽しめます。

サンロレンツォというのは、フィレンツェにある古い教会です(サンロレンツォ教会)。

サンロレンツォの夜という意味ですね。

スティピュラはイタリア万年筆初心者にはおすすめしないけどおもしろいチャレンジングなメーカー!

そのようなわけでスティピュラはイタリア万年筆のなかでも

かなり手作業の工程の多い小さなメーカーになります。

 

おもしろい軸は多いのですが国産のように誰がどの角度で書いてもすらすら出る!というわけにいかず
初心者さんには向きませんので
熟慮したうえでご購入されると良いかなと思います。

 

もし初心者さんでどうしてもこの軸がほしい!という方は一度LINEなどでご相談いただければと思います・・・!

 

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では。

 

 

万年筆の使い方・選び方に困ったら

店長
はじめまして!Il Duomo(イル・ドゥオモ)店長の佐藤です。

私は、幼少期から絵や文学(短歌とか詩)などが好きで、文具が大好きでした。

 

大人になってからヨーロッパ文具の美しさと独特の味わいに惹かれて、万年筆の通販サイトをはじめました。

主にイタリアのペンを中心に扱っています。

 

私自身、万年筆を使い始めてから手帳に向かい合う時間が増え、いっとき辞めていた詩歌の趣味も、あらためてはじめることができました。

そんなことから、わたしは筆記で人生はもっと豊かになると信じています。

 

万年筆・ボールペンをただ販売するだけでなく、筆記でどんなことが楽しめるのか、どんな風にペンたちを使っていくのか、そんなことも発信していきたい!と思ってこのブログをやっております。

 

 

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