アルマンドシモーニクラブ(ASC) オジバメディオの外観・書き味は?

数々の万年筆を手にしてきたIl Duomo店長の私が思わずうなったのが、今回ご紹介したいアルマンドシモーニクラブのオジヴァメディオ

 

セルロースアセテート製のつやのある美しい葉巻型の軸、細部に施された様々なこだわり。
どこを見ても丁寧な仕事ぶりが感じられるオジヴァメディオ。

 

書き心地もなめらかで、気持ちよく筆記することができます。
使いやすさを追求したこちらのモデル、私がおすすめしたい万年筆のひとつです。

 

 

廃業したオマス。後継のアルマンドシモーニクラブ(ASC)からオジバメディオが登場!

かつてオマスというメーカーから発売されていた『オジヴァ』はご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
こちらのメーカーは2016年に惜しまれつつも廃業。
その後継として立ち上がったのがアルマンドシモーニクラブ(ASC)です。

 

アルマンドシモーニクラブについて詳しくはこちら

 

オジヴァのシリーズはASCでも、登場。
このASCのオジヴァから軸の素材を変え、少し小ぶりにしたものが今回ご紹介するオジヴァメディオです。

 

オジバメディオを持った感じ・外観は?

 

素材 セルロースアセテート ゴールドまたはロジウムトリム
キャップタイプ ねじ式
ペン先 14K
文字幅 F/M
インク方式 ピストン吸入式
キャップポスト時の長さ 約16.8cm
キャップの長さ 約6.8cm
収納時の長さ 約14.2cm
胴軸部の長さ 約12.5cm
最大軸径 約1.45cm⌀
首軸(グリップ)部軸径:約1.1cm⌀
キャップ径:約1.5cm⌀(クリップ含むと1.6cm⌀)
重量 約42g
キャップ重量:約9g
キャップ無し重量:約33g
その他 --

 

 

他の商品と比較するのに重要なスペック表ですが、これだけではわからない部分もたくさんありますよね。
今回は実際に私が手にとり、書いてみて感じたことを詳しくお伝えします。

 

持った感じは?

Il Duomo店長の私(女)が手にとってみると、「やや大きいな」という印象。
女性の方・手が小さめな方は私と同じように感じるかもしれません。

 

長さ:14.2cm(うちキャップ部分が6.8cm)
重さ:42g

 

キャップをポストすると全体の長さは16.8cmに。
長い・・・!

 

アルマンドシモーニクラブ オジヴァメディオ グリーンラグーン

 

一般的にキャップをポストすると後ろのほうに重心がきてしまい、書きづらさを感じるものもあります。
しかしオジヴァメディオを書くときに一番重さがかかってくるのは、軸の真ん中より少し下あたり。
つまりちょうど持つあたりが重くなるので、キャップポストをしても「バランスが悪くなって書きづらい!」なんてことはありません。

 

とはいえ、私はキャップポストした状態ではずっしり重く感じてしまいました。
キャップを外すと33g、これが私にとっては書くのに心地よい重さでした。

ちなみに男性スタッフは、問題なくポストした状態でも書けるとのことでした。

 

気をつけて!
キャップをポストする場合は優しく差し込んでくださいね。
ぐっと押し込みすぎると傷がついてしまう可能性があるので注意。

 

感嘆のため息が思わずもれてしまうほどに美しい、セルロースアセテート製の軸

オジヴァメディオでまず目を惹くのは、ツヤのある美しい軸ですよね。

 

アルマンドシモーニクラブ オジヴァメディオ ブルールーセンス

 

この透明度とつるつる感、伝わりますか?
とても丁寧に研磨されていることがわかります。

 

オジヴァメディオの軸はセルロースアセテートという合成樹脂で作られています。
こちらの素材はセルロイドに比べて安価。

 

ASCのセルロイド製万年筆が10万円を超えるものもある一方で、オジヴァメディオは7万円弱です。
もちろん小ぶりなサイズというのも理由のひとつですが、それにしても結構な価格差ですよね。

 

しかし、オジヴァメディオはこの価格差を埋めてくるほどのすばらしさ
質感は異なるものの、セルロイド同様に透明度が非常に高く、あたたかみのある美しい発色。
加えてセルロイドに比べて燃えにくいのも、セルロースアセテートの強みです。

 

セルロースアセテートは高級眼鏡のフレームや、アパレルブランドのGUCCIでも採用されています。
万年筆だけでなく、様々な場面で重宝されている素材です。

 

セルロイドの万年筆は高価でちょっと手が出ないなーという方にはセルロースアセテートのペンを一度手にとっていただきたいです。

 

とにかく仕事が細かい!隅々までこだわりを感じる万年筆。

美しさに目を奪われる外観ですが、手にとって細部を見てみると更に感動。
アルマンドシモーニクラブのこだわりが随所に見られます。

 

首軸の部分までしっかりとレジンが使われていて、先端には金属のリングがついています。
そこには"Armando Simoni Club"と刻印が。

 

アルマンドシモーニクラブ オジヴァメディオ グリーンラグーン

 

金属の細いリング装飾も複数見られ、全体的に凝ったデザインです。

 

アルマンドシモーニクラブ オジヴァメディオ グリーンラグーン

 

見た目のこだわりだけでなく、ひとつひとつのパーツがとても丁寧に作られていています。
万年筆作りに対するASCの真摯な姿勢が感じられますね。

 

3色のカラー展開

それぞれのカラーをみていきましょう。

 

アルマンドシモーニクラブ オジヴァメディオ

アルマンドシモーニクラブ オジヴァメディオ ブルールーセンス / ロッソマグマ / グリーンラグーン

 

単なる色違いでないことは見ていただければわかりますよね。
トリムはロウジムとゴールドの2色から選ぶことができます。
1つずつ見ていきましょう。

 

ブルールーセンス

ルーセンスはラテン語で、光る・艶やかといった意味。

 

アルマンドシモーニクラブ オジヴァメディオ ブルールーセンス

 

透明な部分から中のメタリックな構造を楽しむことができます。
画像だと少し分かりづらいかもしれませんが、動画を観ていただけると綺麗に中の部分が透けているのがしっかり確認できます。

 

 

ロッソマグマ

続いては情熱的な赤、ロッソマグマ。
深みのある濃い赤と、朱色のような部分が混ざっています。

 

アルマンドシモーニクラブ オジヴァメディオ ロッソマグマ

 

セルロイドではありませんが、べっ甲のようなゆらぎがありますね。
角度を変えてみると、マットな部分とキラっと輝きがある部分が。
こちらも先ほどご紹介した動画で観ていただいたほうがわかりやすいです。

 

この色の軸にゴールドトリム、個人的に大好きな組み合わせ!
購入する前に『どちらのトリムが合うかなー』なんて考える時間もまた楽しいものですね。

 

グリーンラグーン

ラグーンとは干潟、遠浅の浜。
イタリアのベネチアにも干潟がありますから、そういったところからインスピレーションを得たのかもしれませんね。

 

アルマンドシモーニクラブ オジヴァメディオ グリーンラグーン

 

グリーンとブラックとホワイトで水のゆらぎが表現されています。
個体差はありますが、Youtubeの動画でご紹介したペンはパールのような模様も入っていました。

 

ブルールーセンスほどではありませんが、このカラーも角度を変えて見るとわずかに透け感のある部分が。
ゴールドトリムがついているペンの尻軸あたりがわかりやすいですね。
ほんの少し中の構造が透けています。

 

オジバメディオの仕様は?

ニブは14Kのみ。ペン芯には希少なエボナイトを使用。

オジヴァメディオのニブは14Kのみです。
ASCのもう少し上の価格帯のモデルでは18Kがついてることが多いですね。

 

ペン芯にはエボナイトという希少な素材が採用されています。
昨今、こちらの素材がペン芯に使われることは少なくなってきました。

 

一般的なプラスチックのペン先に比べてエボナイト製のものは柔軟性があり、ニブの金属と馴染みやすいのが特徴。
つまり、使用していくうちにペン芯とニブの形がだんだん合ってくるんです。
こういった状態になるとフローがよくなり、よりなめらかに筆記することができます。

 

ピストン吸入式

オジヴァメディオはピストン吸入式です。
軸をくるくると回して外すと現れるのは、メタリックで高級感がある合着型コンバーター。
キャップリングと同じ模様が刻まれています。
普段は隠れている部分にまでこのこだわり・・・!

アルマンドシモーニクラブ オジヴァメディオ ロッソマグマ

 

尻軸を左に回してピストンを下げ、コンバーターと同じようにインクを吸い上げます。
一般的なコンバーターよりもインク容量は多めです。

 

窓がついているので、インク残量を確認することができます。
万年筆ユーザーのかゆいところに手が届く、うれしい仕様です。
イタリアン万年筆というと見た目の美しさが有名ですが、こういった機構が面白いものも多いんですよ。

オジバメディオの書き味は?

ASC オジバメディオ 個体差 書き味

動画では試し書きのためにブルールーセンスとロッソマグマ、それぞれMサイズを用意しました!

(写真はブルールーセンスとグリーンラグーンの比較です。ちなみにこの紙はやや字幅が太めに出ます。)

アルマンドシモーニクラブは少量ずつでしか生産していないため、このように欲しいものが欲しいときに手に入るとは限りません。
Fサイズはオーダーしていただければ用意可能、ということでしたので、欲しい!という方は一度イルドゥオモまでお問い合わせくださいね。

 

では、まずロッソマグマで試し書きを。
今回はピナイダーのインクを使用しました。

 

あまりに素晴らしくて思わずうなりました・・・!
日々検品している様々な万年筆たちと比べてもオジヴァメディオ、書き味が抜群に良いです。
ピナイダーのインクはもともと伸びが良いのですが、それを差し引いても書き心地がとてもなめらか。
書き出しもスムーズです。

 

様々な角度での筆記を試してみましたが、あちこち傾けても問題なく書くことができました。
書き心地はサリサリしていて研ぎが独特。
かといって嫌な感じはなく、書いていて気持ちの良い抵抗感です。

 

少し筆圧をかけると字幅が太くなりました。
こういった変化も楽しむことができるペンですね。
漢字のように細かい字も書きやすいです。

 

ニブはよくしなるので、衝撃を吸収してくれそう。
ただそれでも、筆圧のかけすぎには注意が必要です。
ペン先に負担がかかってしまうので、長くお使いいただくためには優しく取り扱いましょう。

 

個体差は?

個体差の具合を確認するために、ブルールーセンスでも書いてみました。

 

 

こちらのほうが先程のロッソマグマより少し字幅が太め。
筆圧かけたときの字幅の変化はほとんど同じでした。

 

この個体もフローがとても良く、書き出しもスムーズ。
角度を変えてみても書くことができました。
とても優秀なニブですね。

 

まとめ

セルロースアセテートの質感も、構造も、書き味もすべて◎!
オジヴァメディオはみなさんにおすすめしたい!そんな万年筆です。

 

特に「セルロイドのペンは高価で手が出ない・・・」という方、まずはセルロースアセテート製のオジヴァメディオを手にしてみてはいかがでしょうか。

 

知名度はまだまだなので、もっといろんな方に知ってもらえたらと思い今回の記事を書きました。
少しでも興味を持っていただけたらうれしいです。

 

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はじめまして!Il Duomo(イル・ドゥオモ)店長の佐藤です。

私は、幼少期から絵や文学(短歌とか詩)などが好きで、文具が大好きでした。

 

大人になってからヨーロッパ文具の美しさと独特の味わいに惹かれて、万年筆の通販サイトをはじめました。

主にイタリアのペンを中心に扱っています。

 

私自身、万年筆を使い始めてから手帳に向かい合う時間が増え、いっとき辞めていた詩歌の趣味も、あらためてはじめることができました。

そんなことから、わたしは筆記で人生はもっと豊かになると信じています。

 

万年筆・ボールペンをただ販売するだけでなく、筆記でどんなことが楽しめるのか、どんな風にペンたちを使っていくのか、そんなことも発信していきたい!と思ってこのブログをやっております。

 

 

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